映画『まぼろしの市街戦』

1966年のフランス映画

『まぼろしの市街戦』

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監督は名匠、フィリップ・ド・ブロカ(1933-2004)

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カルトの古典として名高い

ブラックコメディの名作です

1次世界大戦末期

劣勢に陥ったドイツ軍は

占領したフランスの山村のどこかに

時限爆弾を仕掛けて撤退する

その情報を得たイギリス軍は

フランス語ができるプランピック二等兵に

現地へ行って爆弾を撤去するよう命じる

しかしプランピックが街に到着した頃

住民たちはとっくに避難した後で

唯一残されたのは

精神科病院の患者たちと

解き放たれたサーカスの動物たちだけ

患者たちは不在となった家々から衣装を持ち出し

それぞれが貴族や司教、将軍、娼婦などに扮し

誰もいない街を我がもの顔で闊歩し

そうして街全体が

奇妙なユートピアと化していく

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ひょんなことで患者たちから

ハートの王様に祭り上げられたプランピックは

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彼らに翻弄されつつも

爆弾のありかを見つけようと奮闘するが

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戦火の街から

おもむろにファンタジーが飛び出す

このシュールで奇抜な世界観

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コスプレの衣装に身を包んだ精神科病院の患者たちは

メルヘンの住人をまんま体現していて

いやはや

なんて素敵なんでしょうか

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戦争の最中に突如立ち現れる異世界

画面にはどこまでも穏やかで優しい時が流れ

観ていて不意に

ある種の異化作用を覚えます

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映画は幻想的な音楽とも相まって

祭りの喧騒のみならず

そこはかとない哀感も漂っていて

終始

独特のシュールなムードを醸し出しています

家と家の間を綱渡りする少女コクリコ

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ふと

しかし今は戦時中

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映画は終盤

ドイツとイギリス両軍が対峙し

互いに銃を向けて合い果てます

やがて病院から解放された喜びに浸るのも

つかの間

唐突に夢から覚め病院へと帰っていく患者たち

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しかしラストで

ブランピックは軍を抜け出し

自ら病院の門を叩き

患者たちと一緒になるのです

う〜ん

正気と狂気が逆転するこの寓話

つくづく本作が

半世紀以上前の作品にもかかわらず

今観てもとても斬新で

深い余韻に浸る所以でありましょうか

というわけで

『まぼろしの市街戦』

名匠ド・ブロカによる反戦映画の古典

今更ながら傑作です

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