映画『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』
2018年製作、中国・フランス合作の
『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』
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監督・脚本は
中国映画の次代を担う逸材
ビー・ガン(畢贛、1989-)
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…
父の死を機に
12年ぶりに故郷の凱里に帰ってきた男が
かつて出会った女のことを忘れられず
彼女を追い求めて
現在と過去
そして夢の中をさすらい続ける…
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未知なる映像表現…
監督の出身地でもある凱里という街の
迷宮のようなイメージ
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多分にカメラワークがそうさせるのであろう
時間の感覚を忘れさせる悠然としたムード
現実と記憶が混在し
物語のポイントがどうにも掴みきれない前半部から
一転
およそ1時間を過ぎたあたりで
おもむろに本作のタイトルが表示されます
ここまでが
アヴァンタイトル(=プロローグ)だったことに
自ずと気づかされて
ちょっとビックリ…
そうして映画は
圧巻の後半部
…ならぬ本編へと突入していきます
と
Amazonプライムで観たので
当然、普通の2D映像ですが
本作は劇場公開時
ここから3Dに切り替わるという
ユニークな手法が取られています
劇中
主人公が映画館で3Dメガネをかけるシーンがあるのですが
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これが
観ている側がメガネをかけるサインとなっています
面白いですね
とまあ
タイトルがアップされてから
ゆらめく手提げランプを持って
鉱山の洞窟の中を
主人公が人力車をこぎながら進んでいくという
奇妙な状況から始まるのですが
映画は
ここから
なんと終わりまでの約1時間
ワンショットによる驚異の長回しを見せます
しっかし一体どうやって撮ったのでしょうか?
そうして独特のカメラワークによる
奇妙な異世界が目の前に現出
男が丘の上から夜のロープリフトに乗って
ゆっくりと斜面を降りていく
さらに
卓球ラケットを回転させる魔法を使って(!)
男と女が夜空を舞う…
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まるでシャガールの絵画のような浮遊感です
ふと
観ていくうちに
これは夢だということがわかってきます
つまり男が3Dメガネをかけ
そのまま眠りについて見ている夢
ということなんですね
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卓球の少年やミステリアスな女
少年の頃のエピソードなど
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なるほど人物や時間軸が
奇妙に入れ替わったりするはずで
まこと不思議な余韻に包まれますね
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散りばめられる夢と記憶の断片が
めくるめく回転を交えながら
意識の底に
ゆっくり静かに沈澱していきます…
つくづく長回しだけではない
その技巧を極めたカメラワークの妙
淡々と沁み渡るような音楽とも相まって
なんとまあ
幻想的で魅惑の世界観でしょうか
劇中
タルコフスキーの『ストーカー』のラストシーンを彷彿させるシーンがありましたが
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本作はまさに
新鋭ビー・ガン監督に宿る
豊穣な映像詩と言えましょうか
しっかし恐るべき才能の出現です
というわけで
『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』
中国から突如生まれた無二の傑作
これは必見です
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