映画『ビフォア・ザ・レイン』

昔、新宿の映画館で観て

感動した覚えがあるのに

いやはや

すっかり忘れていましたね

Amazonプライムで

久々に観る機会を得て

当時の記憶がにわかに蘇ってきました

1994年製作

マケドニア、フランス、イギリス合作の

『ビフォア・ザ・レイン』

↓↓↓

IMG_6630.jpeg

監督・脚本は

ミルチョ・マンチェフスキー(1959-)

↓↓↓

IMG_6641.jpeg

本作は

マケドニア→ロンドン→マケドニア

を舞台とした

3つのパートから成る寓話で

特筆すべきは

それぞれのエピソードが

複雑に絡み合い

メビウスの輪のように

ねじれた円環構造を有している点

これが面白い

↓↓↓

IMG_6635.jpeg

第1部「言葉」

第2部「顔」

第3部「写真」

ここで描かれるのは

旧ユーゴのひとつ

マケドニアにおける

民族紛争や宗教対立がもたらす悲劇の連鎖です

↓↓↓

IMG_6632.jpeg

沈黙の修行に励む

感受性豊かな修道僧キリルと

↓↓↓

IMG_6804.jpeg

彼の元に逃げ込み

つかの間の交流をはかるも

やがて銃弾に倒れる

アルバニア人の少女ザミラ

↓↓↓

IMG_6800.jpeg

ロンドンの雑誌社に勤めるアン

↓↓↓

IMG_6803.jpeg

彼女と深い関係にある

マケドニア出身の写真家アレキサンダー

↓↓↓

IMG_6802.jpeg

映画は

4人の登場人物を軸にして

マケドニア人とアルバニア人の

民族間の愛憎と

それによってもたらされる

不毛な暴力の連鎖を

時間軸を交差させながら

鮮烈に炙り出します

↓↓↓

IMG_6637.jpeg

って

以下、ネタバレ御免ですが

本作は

ラストシーンが

冒頭のシーンへとつながります

↓↓↓

IMG_6805.jpeg

えっ

観る者は

狐につままれたような

ある種の衝撃を受けます

ふと

よくよく

物語を時系列順に追っていくと

2部→3部→1部

そしてそこから

また2部へとつながって、と

あれれ

正直

どうにも辻褄が合わない

これじゃ無限ループだ…

観ていて

少なからず混乱を招きます

しかし

これこそが監督の狙い

マンチェフスキーは

本作を通して

殺戮と報復という

負の連鎖から

抜け出すことができない

マケドニアの出口のない現実を

象徴的に描いているのです

↓↓↓

IMG_6634.jpeg

いやあ

この緻密でダイナミックな構想力には

まこと目を見張るものがあります

本作において

醜い争いに明け暮れる人間界と

対比して描かれるのは

マケドニアの

起伏の激しい山間部の

その圧倒的に美しい自然です

↓↓↓

IMG_6638.jpeg

そして

映画の初めと終わりの繋ぎの部分で

癒しと浄化の雨が

あたり一帯に

おもむろに降り注ぎます…

う〜ん

観ていて自ずと

いつの時代においても

いま現在も

世界のあちこちで

絶え間なく繰り広げられている

人間の愚行を

つくづく

思わずにはいられません

そんな

延々続く時間のループに

戸惑いと絶望感を抱きつつ

どこか祈りにも似た切実な思いと

たしかな普遍性を

本作に見出した次第です

というわけで

『ビフォア・ザ・レイン』

マンチェフスキーの

類稀なスケールと

堂々たる演出が光る

隠れた傑作

いやあ

これはあらためて必見です

↓↓↓

IMG_6625.jpeg

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。