『KAZUO OHNO』
1995年製作
日本・スイス合作
15分の短編ドキュメンタリー
『KAZUO OHNO』
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監督はスイスが誇る
耽美派の巨匠
ダニエル・シュミット(1941-2006)
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世界的な舞踏家
大野一雄(1906-2010)の
89歳の時の踊る姿をフィルムに収めた
貴重なドキュメンタリーです
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あらためて
大野一雄は
土方巽(1928-1986)と並んで
暗黒舞踏を世界に知らしめ
100歳を超えてもなお
舞台に立ち続け
生涯現役を貫いたことで知られる
伝説的な舞踏家です
本作は
数々のシュミット作品を手がける名カメラマン
レナート・ベルタの撮影によって
「身体」あるいは「身体性」を基本コンセプトに
場所を移しながら
舞い続ける大野一雄を
幻想的かつ実存的に映し出していきます
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晴海埠頭の青白い世界
現実と虚構の融解
この世のものとは思えない
幽玄的な風情
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本作の一部は
シュミットが坂東玉三郎を撮った
異色のドキュメンタリー
『書かれた顔』(1995)にも収録されています
さらに
レインボーブリッジのあたりの夜景をバックに
「アマポーラ」の優しい音色に乗って
ひとり陶酔の心地で
舞踏を舞う大野
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う〜ん
この独特の妖しいムード
しかし
画面を横溢する至福の空気感は
一体どういうことでしょうか
移動撮影を主体とした
ベルタのカメラワークもさることながら
つくづく
この主因は
シュミットが
自身に内在する夢幻的美意識を
大野の舞いの中に
思わず見出した悦びに
他ならないのではないでしょうか
シュミットと大野という
2人の芸術家が
まさに呼応した様を
映像の端々に
大野の舞踏の中に
如実に見出すことができましょうか
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と
さらにカメラは自宅へと入り込み
素顔の大野が
部屋の中で舞う様を捉えます
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背後の奥さんの生活感と相まって
やはり独特の
悠然とした空気感に満たされています
そして終盤の
鏡を前にした舞いも圧巻でした
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時間の感覚を無にする
まったりとしたムードの中で
虚と実
あの世とこの世の
まさに刹那を表現しているようです
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いやあ
なんて素晴らしいんでしょうか
思わずため息が漏れます
というわけで
本作は
わずか15分の短編ながら
舞踏家、大野一雄の無二の存在感
異才シュミットの耽美な世界観が
濃密に凝縮された
まこと優れたアートフィルムといえましょう
おまけ
シュミットの『今宵かぎりは…』について
以前、僕が書いた記事は→こちら
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