映画『板尾創路の脱獄王』
以前から気になってはいましたが
最近ようやく観れました
いやあ
面白い
芸人の板尾創路が初監督した映画
『板尾創路の脱獄王』
↓↓↓
何が面白いかって言いますと
一言で
視点が新しいんですよね
この映画はタイトルが示すように
脱獄ものの映画です
…と
脱獄ものと言えば
まあはっきり言って
名作の宝庫です
このジャンルでは
過去に数々の傑作が
キラ星のごとく生まれました
ちょっと思いつくままに挙げてみますと…
ロベール・ブレッソンの『抵抗』(1956)や
ジャック・ベッケルの『穴』(1960)
といった古典からはじまり
60~70年代には
スティーブ・マックイーン主演の『大脱走』(1963)や『パピヨン』(1973)
ポール・ニューマン主演の『暴力脱獄』(1967)
クリント・イーストウッド主演の『アルカトラズからの脱出』(1979)
などなどや
近年では『ショーシャンクの空に』(1994)
なんていう名作もあります
ザッと挙げただけでも
映画史に燦然と輝く傑作揃いです
この“脱獄もの”というジャンルでは
もはや傑作は生まれ得ないのではないか
というくらい
出し尽くされてしまった感があるのです
そうした認識にもとづいた上での
この『板尾創路の脱獄王』ですよ
このタイトルだけで
この板尾という人が
ただ者でないことがわかります
この男、相当な映画好きですね
そうじゃないと
このジャンルは選びません
そして
本作はつわもの映画マニアたちに対する
大胆不敵な挑戦状
ととらえてほぼ間違いないと思います
デビュー作でこれを持ってくるんですから
新人ながらこのしたたかさ
確信犯ぶりは
相当な自信の表れです
初めっから高いリスクを
自らに課しての船出です
…で
気になる中身の方はといいますと
いやあ
ビックリしました
過去の脱獄ものの名作に
きっちりオマージュを捧げながら
しっかりと新しい視点を導入することに
成功しているでは
あ~りませんか…
まだあったんですね
新しい視点が…
ストーリーは
(板尾演じる)ある男が
些細な罪から刑務所に入れられるが脱獄をし
しかし意図的につかまって
またもや脱獄をし
それをどんどん繰り返していき
そうした反社会的行為ゆえ
罪がどんどん重くなっていく
それでも執拗に脱獄をし
やがて難攻不落の刑務所に送り込まれて…
男の真意は一体どこにあるのか?
映画は
昭和初期の時代背景のなかで
男が駆使する
様々な脱獄の手口を見せていきながら
次第にその謎が明らかになっていきます
う~ん
物語の展開が
時間軸をずらしたりしながらも
シンプルで骨太な演出ゆえ
観る者を画面の中に
ぐいぐい引きずりこんでいきます
何より
過去の“脱獄もの”にない
新しい視点とは?
かつての脱獄ものは
自由への希求といいますか
当たり前ですが
逃げることを渇望することが
まず前提にあったりします
…が
この映画は違います
脱獄そのものに意義を見出しているのです
あたかも脱獄を
ゲームととらえ楽しんでいるかのよう
脱獄そのものが生きがいといわんばかり
なので脱獄が
困難であればあるほど
やりがいを感じる
パラドックスですね
…と
実はラストで
そうではなかったことが
明らかになるのですが…
これ以上は
ネタバレになりますので控えます
う~ん
この視点は斬新です
僕の記憶では
過去の脱獄ものの映画の中に
おそらくこの視点は見当たらないと思います
…と
この脱獄という行為そのものに
スポットを当てる
一見何の生産性もない
バカバカしい行為の中に
生きている実感を見出す
このアナーキーさが
これはまんま
お笑い芸人の生き様と
重ね合わせているようですね
反社会的行為と言わないまでも
お笑い芸人のやっていることは
この脱獄そのものを生きがいにする男と
なんら変わりなく
そうした不毛で無意味な行為を
命がけでやるということに
お笑い芸人としてのプライド
真骨頂があるのかなと
観ていてピンときましたね
そういう観点から見ましても
この映画
なかなかのものです
板尾が自分の心の内を見事にさらしましたね
ただ
正直
僕はラストだけは
気に入らなかったです
詳細は省きますが
お笑いをやってしまいましたね
まあ芸人としての性でしょうね
やらずにはいられなかったんでしょう
はっきり言って
映画の格が台無しです
あ~あ
やっちまいやがった…
って感じ
でもこれが板尾なのですね
僕はテレビはほとんど観ないから
わからないのですが
この板尾という男
一筋縄ではいきませんね
顔の作りはいいくせに
ヌメッとした肌触りで
何とも言えず不気味で…
何を考えてるんだかわからないところが
面白い
今後が楽しみです
次回作に期待です
すごく見たくなりました!
最後を含めて観賞してみます(*^^*)
>たらひさん
是非?