『フランシス・ベーコン展』
先日
都内に行った際に
合間をぬって観てきました
竹橋の東京国立近代美術館にて開催中の
『フランシス・ベーコン展』です
↓↓↓
フランシス・ベーコン(1909‐1992)は
アイルランドのダブリン生まれの
知る人ぞ知る画家です
↓↓↓
(同姓同名の哲学者がいますが別人です)
いやあ
ベーコンの絵は
僕は今まで
ほとんど観た覚えがありませんでした
が
その名はよ~く知っていました
なぜって⁈
ハイ
この人の絵に
インスピレーションを受けた芸術家が
世に多くいて
特に
僕が大好きな映画監督
デヴィッド・リンチが
かねてからベーコンに心酔し
創作上
多大なる影響を受けていると
公言していたことから
僕も
どんな画家なのだろうと
以前からとても気になっていました
実際なかなか観る機会のなかった
そんな中
この度
ベーコンの回顧展が開催されることになり
なんと
代表作を含む一挙30数点が
来日することになったものですから
これはこれは嬉しい話
どれどれ
ベーコンが
果たしてどんなもんか
いっちょう観てみようと
喜び勇んで会場入りした次第です
と
ぎょえっ
何じゃこりゃ~
(by優作風…)
以前から絵画の本などでは
よく目にしていたので
なんとなく
作風とかはわかっていたつもりですが
う~む
実物を観るのとでは大違いでしたね…
のっけから
度胆を抜かれたといいますか
正直
じっくりと正視できないほどの
戦慄を覚えましたね…
《人物像習作Ⅱ》(1945〜46)
↓↓↓
何が描かれているかは
横に書かれている説明文を読まないと
容易には判別できません…
が
絵から伝わってくる
得体の知れない不穏さときたら…
いやあ
強烈です…
好んで取り上げたモチーフである
“檻の中”で叫ぶ“教皇”の絵
◎《ベラスケスによるインノケンティウス10世の肖像画後の習作》(1953)
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う~ん
なんとも…
◎《叫ぶ教皇の頭部のための習作》(1952)
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これまたよく取り上げたモチーフの
“スフィンクス”
◎《スフィンクス-ミュリエル・ベルチャーの肖像》(1979)
↓↓↓
いやはや
人間
それも知人をモデルにしたという
このスフィンクス像って一体⁈
そして
ベーコン得意の
三幅対(3枚で1組の作品)も
今回多く出品されていましたね
◎《ジョージ・ダイアーの三習作》(1969)
↓↓↓
どれもサイズがデカいため
もうそれだけで
すごい迫力
疲労感も半端じゃないです
と
ここでチラシに記載されていた
ベーコンの言葉を引用
「アーティストは、感情のバルブのロックを外すことができるんだ。
そうやって絵を眺めている人たちを、無理矢理にでも生(life)に立ち戻らせることができるんだよ。」
観る人の
いつもは閉じている
“感情のバルブ”を開ける絵
本当の“生”を感じさせてくれる絵…
つくづく
本当の“生”とは
とても醜く歪んでいます
ベーコンの絵は
観る者をおのずと不安にさせます
顔も変形しブレていて
よく見えません
身体もいびつで
激しくデフォルメされています
しかし
なんとも抗いがたい魔力のようなものが
絵の中にあるんですよね…
つい引き込まれてしまいます
ベーコンが
主として好んだテーマの一つに
“中間”と言われているものがあります
神と人間…
神の代理とされる教皇が
弱々しい人間のように叫ぶ姿や
あるいは
神と人間の中間であるスフィンクス
また
人間と動物を融合させたような絵だったり
男だか女だかわからないような人物像などを
好んで描いたりしました
そしてそれらの絵には
基本的に
なんのストーリーも背景もありません
ベーコンの特徴は
あくまで
形としての
頭部や身体があるのみ
例えば
上記の絵ですと
なぜ教皇が
檻のような枠の中で叫んでいるのか
理解する手掛かりはなく
その奇怪なビジュアルが先行するのみで
あまりにも唐突です
しかし
それがかえって
いやがおうにも
観る者に想像力を喚起させるのです
そして異形の顔や身体がもたらす
その
むき出しの生の姿…
感情をかきむしるような
鮮烈な表現そのものが
人々の記憶の中に勝手に入り込んでいき
侵食していく…
そんなイメージです
ふぅ
正直
嫌いじゃないなぁ
こういうの…
というか
むしろ大好き
たまりませんね…
ところで
本展示会では
“暗黒舞踏”という
新しい舞踊ジャンルを確立した
秋田出身の舞踏家
土方巽(1928‐1986)の
大変貴重な上演ビデオ
『疱瘡譚』も放映されていて
いやあ
感激でしたね
土方はベーコンのいびつな身体像の絵などに
直接的な影響を受け
舞踏創作のコンテから振付にいたるまで
事細かに参考にしていたんですね
いやはや
というわけで
本展示会は5月26日まで開催予定です
↓↓↓
強烈なカンフル剤がほしい方に
是非おススメです
でも
しばらく
悪夢にうなされることになりますが
あしからず…
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