映画『裸のキッス』
1964年製作のアメリカ映画
サミュエル・フラー監督の
『裸のキッス』
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けたたましく鳴り響くジャズのスウィング
それに呼応するように
元締めの男を
激しい形相で殴打し続ける
娼婦のケリー
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と
バトルの最中に
思わず
ウィッグがずり落ちて
坊主頭が晒される…
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仰向けにのびた男から
取り分を奪ったケリーは
世の理不尽や
男への憎悪を滲ませながら
鏡の前で
ウィッグを整え、化粧をし直し
やがて
平静さを取り戻していく
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いやはや
なんとまあ
度肝を抜くオープニング
演じるコンスタンス・タワーズの
エキセントリックな存在感
手持ちカメラによるブレた映像が
生々しくも鮮烈なインパクトを
観る者にもたらし
と
そこから一転
都会を出たケリーが
2年後
グラントヴィルという小さな町に流れ着くところから
物語が始まります
売春から足を洗おうと決意したケリーは
体の不自由な子供たちが入院する病院で
看護師の助手として働き始める
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子供たちと触れ合う日々の中で
やがて町の富豪グラントと出会い
彼と恋に落ち
二人は結婚を誓い合うようになる
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幸せを噛みしめるケリーだったが
しかしある日
グラントの
人には言えない秘密
その恐ろしい性癖を知って愕然とする…
う〜ん
一見平穏なアメリカの社会に潜む闇
娼婦という社会的弱者に対する
人々の根深い差別意識
暴かれる偽善
B級テイストながら
おどろおどろしい情念のような
異質な空気が全編に漂っています
ふと
どこかヒッチコックの『サイコ』(1960)を彷彿させますね
と
あらためて
鬼才、サミュエル・フラー(1912-1997)は
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犯罪レポートの記者や
過酷な戦争への従軍体験
またアメリカ南部で人種差別について取材を重ねるなど
そうした経験を生かした犯罪映画や戦争映画を次々発表
しかし50年代当時は
その特異な作風から
B級のキワモノ監督の域を出ることがありませんでした
そんな折、60年代に入って
ゴダールらフランスのヌーヴェルバーグの作家たちが再評価
低予算による製作や
タブーを恐れない作家主義的な創作スタイルから
インディーズの象徴的な存在と目されるようになります
ホント面白いものですね
と
フラーと言えば
ゴダールの『気狂いピエロ』(1965)に
本人役で出演し
そこで語った言葉が有名ですね
「映画は戦場だ
そこには愛、憎しみ、アクション、暴力、そして死がある
ひと言でいえば“エモーション”だ」
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というわけで
『裸のキッス』
フラーの強烈な毒気に満ちた怪作
必見です
と
実は
本作はGYAOで観まして
他に
代表作の『ショック集団』(1963)なども
久々に観ることができて
いやあ
感激でした
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