映画『パターソン』
2016年のアメリカ映画
『パターソン』
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監督・脚本は
独特の作風で世界を魅了する鬼才
ジム・ジャームッシュ(1953-)
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ニュージャージー州のパターソンに住む
バス運転手のパターソン
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街と同じ名前の彼は
毎朝、妻ローラにキスをして出勤し
バス運転の業務に従事する
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帰宅して妻と夕食を共にした後は
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愛犬マーヴィンと夜の散歩に出かける
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そして行きつけのバーでビールを1杯だけ飲む
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そんな一見単調な毎日を送るパターソンだが
彼は日常の生活や出来事から散文詩を創作し
それを毎日“秘密のノート”にしたためていた…
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パターソンにとっては
いつもの変わらない景色や人々との何気ない会話、ささいな出来事が
まるでかけがえのないことのように新鮮に思える
目に映る日常の世界を美しいと感じる感性の持ち主
つまり彼は詩人なのだ
よくよく
パターソンの内面は
その実、スリリングなのです
そして表現に対してどこまでも貪欲で
常に詩作に没頭しているのです
実はこういう人は
周りに結構いるもので
劇中の1週間の間に詩人の少女や風変わりなラッパー
また謎の日本人(永瀬正敏)など
似通った志向の人々と出会ったりして
つかの間の交流を深めます
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つくづく
成長、成功から背を向けた価値観
いいねとかフォロワー数はおろか
SNSや、そもそもネットにも興味なし
自作の詩を出版することもあまり考えていないよう
有名になることも望まない
効率性、合理性、利便性…
そういったものを追求しない
つまりは脱資本主義的なあり方
将来に向かって進むとか
目標を達成すべく頑張るとかの思考用式ではない
仕事によって得られる結果ではなく
仕事そのものが好き
そして今この瞬間が大事
今を生きればそれでいいという
縛られない
自由気ままな生き方
こうしたパターソンのあり方は
僕自身の今の生活や思考習慣とは
実際、まるで真逆ではありますが
その一方で
主人公パターソンのどこまでもミニマルな生き方に
ある種の憧れと共感を覚える自分がいます
表現への飽くなき欲求
創作に対する一途でピュアな姿勢…
その実
妻との愛情に溢れた豊かな生活が微笑ましいですね
ふと
本作におけるパターソンのこうした性質は
実はジャームッシュの一連の作品群のなかで
如実に見てとれます
たとえば『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)で
ウィノナ・ライダー演じるタクシードライバーが
映画出演のオファーを拒む件りなど
まさにそうですね
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ジャームッシュの姿勢は一貫して変わらない…
というわけで
『パターソン』
ジャームッシュの思いや思想が結実した無二の一作
いやあ
これはオススメです
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