映画『トプカピ』

1964年のアメリカ映画

『トプカピ』

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監督は鬼才

ジュールズ・ダッシン(1911-2008)

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1948年に監督した『裸の町』で

スタジオを飛び出しての

オール・ロケーション撮影を敢行

リアルな迫真性を生み出した本作で

一躍注目の人となったダッシンですが

1940年代末からアメリカで吹き荒れた

共産党員、および共産党シンパと見られる人々を排除する

いわゆる赤狩りのリストに名前が載ってしまい

それによってアメリカを追われ

ヨーロッパへの移住を余儀なくされます

しかし不遇な状況下にもかかわらず

ダッシンは

フランスやイタリアなどで

次々と傑作を生み出し

クリエイターとしての真価を発揮していくのです

ここらへんは

やはり同じような境遇に遭いながら

ヨーロッパでその才能を開花させた

アメリカ人監督の

ジョゼフ・ロージー(1909-1984)

とオーバーラップしますね

ということで

話が長くなりましたが

本作『トプカピ』は

ヨーロッパで名を馳せたダッシンが

後年、ハリウッドへの復帰を果たして製作された

異色の冒険活劇です

美しい女泥棒エリザベスが

トルコのイスタンブールの

トプカピ宮殿博物館に展示されている

スルターンの宝剣を

愛人の泥棒ウォルターと共に

強奪する計画を練る

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そうして仲間を集め

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館内外の厳重な警戒網をくぐり抜けて

突破を図るのだが…

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いやあ

手に汗握るとは

まさにこういうこと

宝剣を盗むという目的を

冒頭であらかじめ示しておいて

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そのための準備やら何やらで

物語は淡々と進行し

そして終盤

あっと驚く方法で

世界の至宝に迫ります

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はい

もう有名な話なので

ネタバレ御免ですが

その方法とは

宝剣を奪うために

ロープで括った男を天井から吊るし

降ろして上げるという力業…

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そう

実はこの手法

あの

『ミッション:インポッシブル』で

トム・クルーズが実践した

ワイヤーによる宙吊り

の元ネタなのです

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トルコ相撲による群衆の熱狂と

対比して描かれる

宝剣奪取の際の静寂

音ひとつ立てず

張り詰めた空気の中で

緊張と焦燥に駆られる思いをグッと抑えて

実行に移していく

その一部始終を

映画は

じっくりと丹念に描いていきます

この圧倒的な緊迫感…

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う〜ん

映画作りにおいて

CGの使用やAIの導入って

果たして必要なのでしょうか?

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本作を観ていて

手作り感の妙味

いわば

生身の肉体を駆使したアクションがもたらす

アナログの極致を

まざまざと見せられ

自ずと

映画の持つ豊かさ

その真の面白さに気づかされる次第です

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ということで

エメラルドグリーンが煌びやかな

60年代の

レトロモダンなテイスト

トルコのイスタンブールという

異国情緒溢れるロケーション

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ダッシン監督とのおしどり夫婦で知られる

ギリシャの女優

メリナ・メルクーリの

大らかでハスキーな笑い声が

ひときわ印象的で

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またクールで冷静沈着なリーダーの

マクシミリアン・シェルと

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対照的に

まん丸体躯で気弱な

ピーター・ユスティノフのユーモアが効いていて

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いやあ

なんて味わい深く粋な映画でしょうか

というわけで

『トプカピ』

ダッシンの的確な演出と遊び心が

イスタンブールのエキゾチックなムードと

絶妙に絡み合って

スリリングに展開される

泥棒映画の隠れた名作

是非ともオススメです

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