映画『レヴェナント:蘇えりし者』
映画評です
先月行ったニューヨーク旅行の
帰りの飛行機の中で観ました
いやあ
機内の小さな画面に
もう終始釘付けになりましたね
ただいま上映中の映画です
ディカプリオが念願のアカデミー主演男優賞を受賞した
『レヴェナント:蘇えりし者』
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監督は前作『バードマン』に次いで
二年連続でアカデミー監督賞を受賞した
メキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
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アメリカ西部開拓時代を背景に
仲間の裏切りで最愛の息子を殺された男が
厳しい大自然の中で
生死の淵をさまよいながらも
執念で生き抜き
復讐を遂げる様を描いています
う~ん
狩猟をして毛皮を採取する主人公たちの一団が
ネイティヴ・アメリカンの襲撃に遭い
甚大なる犠牲と損失を被りながら
命からがら逃れる冒頭からして
もう完全に掴みOKです
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そして何より
度肝抜かれたのが
主人公のグラスが熊に襲われるシーン
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荒れ狂う熊の恐怖…
絶望的なまでの力の差
もう人間はなすすべもありません
少しでも動くと攻撃される地獄…
やり返す他なく
捨て身で銃を放つも突進され…
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よく熊に出くわしたら
死んだふりしろっていいますが
実際
熊に襲われるって
こういう感じなんでしょうね
いやはや
つくづく今のCGの技術ってすごいなぁ
あまりのリアルさに心底肝を冷やしましたね…
そうして
瀕死の状態のまま
やがて隊の仲間の一人に息子を殺され
ひとり極寒の荒野に取り残されます
降りしきる雪に凍え
ネイティヴ・アメリカンに追われながら
冷たい川に飛び込み
濁流にのみ込まれ
流され…
う~ん
ホント容赦ありません
次から次へと主人公を襲う過酷な試練
それでも彼は
ただ殺された息子の仇を討つためだけに
大自然の猛威のただ中で
生きる道をまさぐっていきます
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全編、自然光のみで撮影されたという
大自然の
その圧倒的なリアリティ
映像の迫真力
イニャリトゥ監督は前作『バードマン』でも
全編をワンカットのように見える妙技で
驚かせてくれましたが
本作でもこだわり抜いたであろう
驚異の映像表現に注目です
と
ただ復讐のためだけに生き延び
そうして
やり遂げる主人公に
知性や文明の価値観が通用しない
原初の姿を見出し
心底感銘を受けるも
同時に
復讐を遂げた後に残る
この
えも言われぬ
虚しさは
一体どうしたものでしょうか
極限の状況における
人間の存在の
尊さと
そして
はかなさ…
しんしんと雪が降り積もる極寒の大地での
実存的なまでの孤独な戦い
全編を貫く無常観
説明描写やセリフを極力削ぎ落とし
大自然の絶望的なまでの脅威と
悲壮感に満ちた主人公の
サバイバルな行動のみを延々追いかけた
ミニマムな演出が
本作に
一種異様な霊性をもたらしています
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それにしても
ディカプリオは圧巻でした
おそらくは過酷を極めたであろう
実際の撮影現場と
おのずと役に課せられた重圧
つくづく
現代の俳優に絶えず求められる
精神的、肉体的な代償
しかし映画への情熱と高い技術力で
それを凌駕し
役に対する献身的なまでの姿勢とともに
やがては全身全霊の演技が生み出され
作品のリアリティをいや増すに至る
う~ん
淡々と
それでいて鬼気迫るディカプリオには
ホント神々しさすら漂っていましたね
昔から観ている僕としては
その逞しい変貌ぶりに
あらためて驚嘆させられた次第です
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さらには
坂本龍一の音楽がこれまた最高で
重低音によるシンプルな単音が
不毛の荒野を生き抜く主人公の
孤独な内面をストレートに表していて
とてもいい
というわけで
おっと
ただいま上映中の映画にもかかわらず
すっかりネタバレリーナしてしまい
大変失敬です
まあでも
僕の中ではほぼ今年のベスト1確定ですかね
何はともあれ
まだ上映中ですので
是非とも映画館での鑑賞をオススメします
必見の一本です
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