映画『青春群像』

輝かしい未来が

訪れる日を夢見て

でも

その日は

いつまで経っても

やって来ない

もしや

その日は来ないのではないか

そんなモヤモヤした日常に

苛立ちを募らせつつ

それでも

いつか

きっと僕らの望む明日が来るだろうと

ただその日を思い描いて

そうして

つい

毎日を

怠惰に過ごしてしまう

自己嫌悪にかられつつ

それでも

いつまでも

希望は失わない

どんな時も

明日を夢見ることを忘れない

しかし

明日は

なかなかやってこない

今は

まだ

うだつの上がらない

ろくでなし

決して

眠りから覚めることのない

いわば

ダメ男たちの

淡い夢

1953年のイタリア映画

ご存じ

巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の初期の佳作

『青春群像』

↓↓↓

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フェリーニの自伝的要素の濃い一本

自身の故郷である

イタリアの港町リミニを舞台に

明日を夢見るも

怠惰で自堕落な日常から抜け出せない

若者5人の姿を描いた青春ドラマの佳作です

本作には

戦後イタリアの荒廃した現実をありのままに捉えた

ネオリアリズムの色が薄れつつ

それでもペシミスティックな空気が全編を覆います

その後のフェリーニ映画のモチーフ

道化、祝祭、海などや

そのスタイル

エピソードの積み重ね

ニーノ・ロータの音楽に奏でられた

幻想的で郷愁を誘う独特のタッチの萌芽が

フィルムの端々に見てとれ

映画史的にも重要な意味を担う作品です

こう

怠惰ながら

その日を悔いなく燃焼させて生きている

などという

そんな若者特有のきらめく青春時代

などでは決してなく

ホントうだつの上がらない

ダメダメぶりで

後悔と不安だらけの鬱屈とした日常なんですよね

思わず

昔の自分の姿と重ね合わせてしまって

う〜ん

観ていて

ある種の気恥ずかしさや

えも言われぬ懐かしさを覚えます

それでいて

人間味に溢れたその豊穣な世界観に

なんとも心が満たされるんですよね

まあ

そういうわけでして

愛すべき小品の

この映画

僕は好きだなぁ

あらためて

フェリーニ最高です

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