映画『顔たち、ところどころ』
Amazonプライムで観ました
いやあ
なんて素敵なドキュメンタリーでしょうか
2017年のフランス映画
『顔たち、ところどころ』
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監督は2人
ヌーヴェルヴァーグ時代から
半世紀以上にわたり第一線で活躍した
女性監督の先駆者
アニエス・ヴァルダ(1928-2019)と
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新進気鋭の写真家兼アーティストの
JR(1983-)
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という
当時87歳と33歳の
実に54歳差コンビによる共作です
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製作にあたっては
クラウドファンディングで
約5万8千ユーロの資金が集まり話題になりました
本作は
一緒に映画を作ろうと意気投合した2人が
スタジオ付き写真BOXカーで
フランスの田舎を訪ね歩く
いわばロードムービーです
と
出発に際し
ヴァルダは語ります
「偶然こそが常に最良の助監督」
ということで
カメラの形をしたトラックに乗って
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行き当たりばったりの
あてどもない旅へと
いざ
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そうして2人は
フランスの田舎を巡りながら
行く先々でそこの住人たちと接し
人々の顔や全身を大きく引き伸ばしたモノクロ写真を
古い建物の壁面などに貼りつけていきます
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日常の何気ない風景が
たちまちアートな空間に変わる
う〜ん
地元の人たちとサクサク進めていくプロセスが
観ていて楽しく
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何より
自分たちを素材にした
巨大なプリント写真が貼りつけられた作品が放つ
思わぬ美しさ
その圧倒的なまでの存在感に
誰もが驚きや恥ずかしさの入り混じった
満面の笑みに包まれていきます
つくづく
シンプル極まりないその一連の活動に
芸術が本来持っている
原初の力を見出すことができ
観ていて思わず
目を開かされ
新たな視点をもらい
自ずと
意識の変革を促されるような
そんな気にさせられる自分がいますね
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2人が行く先々は
どこも素朴な地ばかり
黒いボタ山の見える廃れた炭鉱とそこで働く坑夫たち
菜の花やひまわりがいっぱいに広がる田園風景と農民たち
古い村で鐘をつく人
牧場でヤギの飼育をする人
セメント工場の労働者たち
港湾労働者の妻たち
羊の群れ
海辺に落ちたトーチカ
強い風…
それはそうと
出てくる人たちは皆いい顔してるなぁ
また老人たちは顔のしわに
人生の年輪が深く刻まれていて
味がありますね
また田舎の古い家が
なんともいいんですよね
刻み込まれる遠い土地の記憶
それは同時に
80年以上ものヴァルダの実人生を
つかの間
ふり返る道程にも連なります
と
どこまでも
自然体で正直で
自由で気まぐれな
世代の違う2人のアーティスト
ヴァルダは才気闊達で
本当に可愛いおばあちゃん
孫のようなJRとの
即興による(!)掛け合いが楽しく
また時折、切なくもあります
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さらには
カルティエ=ブレッソンの墓を訪れ
車椅子に乗ったヴァルダとJRが
ルーヴル美術館内を駆け抜け
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そして旧友、ゴダールの家を訪ねるくだりでは
そこはかとない物悲しさすら漂い
湖のほとりでの監督2人による
淡々と穏やかな時が流れるラストに至るまで
いやあ
なんとまあ
自由で愛情に溢れ
実り豊かな映像の数々でしょうか
さりげなくも
心に残る素晴らしいシーン満載です
ちなみに
ヴァルダは本作が遺作となって
2019年に帰らぬ人となりました
というわけで
本作『顔たち、ところどころ』は
ヴァルダが若きJRとのコラボによって
最後に見せてくれた
珠玉の輝きに満ちた傑作です
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