映画『きっと、うまくいく』
かねてより
映画好きを公言してはばからない僕ですが
まあ今まで
いろんな映画を観てきましたね
ふと
20代の頃に
登場人物に感情移入する主観的な見方に
徐々に飽きてきまして
むしろ純粋に
視点の新しさ、表現の妙を発見する客観的な見方
(実際は客観的に観ることなんて不可能ですが…)
…の面白さにふいに目覚め
それからというもの
もっぱら映画を
いわばアートフィルムとして
離れた眼で
なかば突き放して
観るようになっていきました
って
そうした眼で観ていくと
次第に
少々の映画では物足りなくなってきまして…
やがて
ハリウッド映画に代表されるストーリーの定型
…を無視した
自由なスタイルのインディペンデント映画や
他にも
アメリカやフランスなどの先進国以外の
いろんな国のいろんな価値観の映画に触れたり
はたまた
一般商業映画の枠をはみ出た
やばいアングラ映画や実験フィルムなどを
いやはや
昔はよく漁って観たものです
僕が20代だった90年代当時は
LGBTの自主製作フィルムなどが花盛りで
おっと
こりゃ観る映画を間違えちゃったなぁ
なぁ〜んて
冷や汗を流しながら
映画館の暗闇にうずくまっていたこともありましたね…
とまあ
そんなこんなで
一体何が言いたいのかというと
僕の独りよがりな懐古趣味を
ひけらかしたいわけではなく
よくよく
では
ハリウッドのメジャー映画が
一概にダメかというと
決してそんなことはなく
その時々の
自分の生活環境や精神状態に
ピタリとフィットし
自分の心情を言い得て余りある映画に
これがまた
時折巡り合うものでして
そういう映画には
通好みも
ベタな映画も
へったくれもありませんよね
心に響いちゃったものは
しょうがない
頭では
なかば気取ってアートな映画を志向しても
ど真ん中エンタメ映画に
どうしようもなく心揺さぶられちゃうケースも多々あるのは
ハハハ
これまぎれもない事実ですね
というわけで
前置きが長くなりましたが
先日Amazonプライムで観ました
2009年のインド映画
日本では2013年公開
ラージクマール・ヒラニ監督の
『きっと、うまくいく』
↓↓↓
いやあ
あまりの面白さに
正直ぶっ飛びましたね
上映時間は実に171分
しかし
ホントあっという間に時間が過ぎていきました
夜、ひとりで何気なく観たのですが
途中でやめられず
結局最後まで
ぶっ通しで観続けちゃいましたね…
↓↓↓
何なんでしょうか
この底知れぬパワー
充満するエネルギー
無二の世界観
怒涛の勢いで押しまくるテンポ
役者たちがみんないい
よう泣くし
まあ振り切っています
主人公のランチョーはじめ最高です
↓↓↓
1ミリも理解できないヒンディー語の
クセになりそうな奇妙な響き
度々挿入される
インド映画お約束の歌と踊りと相まって
もうノリは完全に昭和で
まるでドリフのコントを見ているよう
いかりや長介的キャラの鬼の学長
↓↓↓
物語は
エンジニアを目指す超一流大学を舞台に
ランチョーほか学生3人が繰り広げる珍騒動と
卒業後の行方を探す
ミステリー仕立てのコメディでして
全編
バカバカしいほど笑っちゃうのですが
そうした中でも
インドの階級社会の現実や深刻な弊害
求められる教育のあり方
学ぶことの意味が
誠実なまでの真摯さで描かれていて
う〜ん
面白い
説得力があります
シリアスと笑いのバランスがとにかく絶妙で
その脚本の完成度の高さには
ちょっと感心してしまいましたね
上述の僕の話があっけなく吹き飛ぶくらいの
(大げさでなく)衝撃を覚え
心底、感動に打ちのめされてしまった次第です
↓↓↓
常に斜に構えて観ている僕ですが
ど真ん中を行く娯楽王道映画も
たまにはいいものですね
思わぬ発見でした
というわけで
『きっと、うまくいく』
映画大国インドの実力を
まざまざと見せつけた一本
まぎれもない傑作です
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