映画『アレックス STRAIGHT CUT』

映画評

『アレックス STRAIGHT CUT

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監督・脚本・撮影・編集は

フランスが誇る問題児

ギャスパー・ノエ(1963-)

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本作は

ノエが2002年に発表した『アレックス』の再編集版です

どういうことかといいますと

このオリジナルの『アレックス』は

原題『Irreversible』が

「ひっくり返せない、不可逆、取り返しがつかない」

を意味するフランス語でして

映画は

モニカ・ベルッチ演じる女性が

夜の地下道で男から凄惨な暴行を受け

ヴァンサン・カッセル演じる恋人が

復讐に駆られ夜の街を奔走し

暴力の連鎖を起こす様を描いているのですが

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本作が面白いのは

エンドロールが逆回転するところ始まり

話が時系列を遡って

過去へ過去へ進んでいくという

ユニークな構成をとっている点にあります

モニカの暴行シーンは映画の中盤くらいにあるのですが

映画は過去へ過去へと遡っていくので

終盤は事件が起きる前の

恋人たちのひと時などの

幸せいっぱいのムードに包まれた様子が映し出され

すっかり感情移入して観ている僕らは

先に凄惨なレイプを目の当たりにしているので

なおさら映し出される映像が

切なく感じられ

時の無情、残酷さを思い知らされ

う〜ん

精神的に

ほとほと打ちのめされたものです

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いやはや

ということで

話が長くなりましたが

現在公開中の『アレックス STRAIGHT CUT』は

オリジナル版をノエ自らが

時間軸に沿った物語へと再構築したバージョンです

ノエ監督いわく

「時系列を元に戻したことで、とてもシンプルになり

特にそれぞれの登場人物の心理がより見えやすくなった」

と語っているように

残酷な現実

剥き出しの暴力が

よりストレートに表現された印象になりましたね

まあでも

今から約20年前

『アレックス』のオリジナル版を映画館で観て

ぐるんぐるんに回るカメラに戸惑いながら

一体この先どうなるんだろうと

文字通り

固唾を飲んで

身体をこわばらせながら

恐怖のまなざしで画面を凝視し

そうして衝撃とやるせなさにまみれた

当時の映画体験の強烈さに比べれば

今回のストレートカット版は

もう実際、オリジナルを何度も観てるだけあって

かなり余裕を持って

鑑賞に臨むことができましたかね

そうは言っても

やはり何度観ても

ヤバいシーン満載で

とても冷静な気持ちではいられない僕がいたのも確かですが

って

トラウマ級だな

われながら

でもゆえに本作は

僕にとっては決して忘れられない

強い磁力を持った

まず魅惑のフィルムに他ありませんね

つくづく

そういう意味でも

『アレックス STRAIGHT CUT』は

もちろんオリジナル版もそうですが

まずオススメすることができない

危ない映画の筆頭株ですね

というわけで

おまけ

だいぶ前にオリジナル版について

僕が書いた本ブログ記事はこちら

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