スーティンの異世界
数年前
ニューヨークに行った際に
メトロポリタン美術館で観ました
スーティンの
◎《カーニュの眺め》(1924)
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あらためて
ベラルーシ出身のユダヤ系ロシア人で
主には1920年代にパリで活躍した
いわゆる「エコール・ド・パリ」
を代表する画家
シャイム・スーティン(1893-1943)
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いやあ
今さらながら
僕の大好きな画家です
スーティンは
パリという異国の地で
過酷な生活環境の中
モディリアーニほか
各国から集まった芸術家たちと
切磋琢磨しながら画業に励み
そうした中で
とりわけ自身の内面
…その不安定な精神状態を顕在化したかのような
激しい筆致と極端にデフォルメされた造形で
独自の表現主義的なスタイルを確立
やがてアメリカの著名な画商バーンズに見出され
名声を獲得し
金銭的にも裕福な生活を送るようになります
しかしそう長くは続かず
1930年代前半以降
作品数も減り
徐々に生活が厳しくなっていきます
と
スーティンが1930年代後半の一時期
一緒に住んでいた女性
ゲルダ・ミハエリスの回想録に
スーティンとの私生活の一端が垣間見れて
大変興味深いですね
『スーチンーその愛と死』
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本書にも詳細に記されていますが
1940年のドイツのフランス侵攻によって
当時
パリに住んでいたスーティンは
ユダヤ人であることから
ゲシュタポの弾圧を逃れて
フランス中部の村々を転々とし
やがてゲルダとも
離れ離れになってしまいます
そうした不安定な暮らしの中で
持病である胃潰瘍が再発し
ついぞ好転しないまま
1943年に穿孔性潰瘍のため
50歳でこの世を去ります
う〜ん
つくづく
過酷な運命に翻弄された
波瀾万丈の人生だったのかなと思います
と
そんなこんな
一度観たら忘れられない
強烈無二な画風を誇る異才
スーティンの絵を
僕も度々目にしていますが
国内でまとまって展示される機会は
なかなかありませんね…
ということで
その特異な世界観に彩られた作品群を
以下に列挙
こちらもメトロポリタン美術館で鑑賞
◎《マドレーヌ・カスタン》(1929)
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その複雑な内面が窺い知れる表情
こちらは
ひろしま美術館に所属されています
◎《椅子に寄る女》(1919)
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曲がった口
歪んだ表情
その人の本質が炙り出されんばかりです
国立西洋美術館所蔵
◎《狂女》(1920)
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底知れぬ内面
異様な緊張感に満ち満ちています
アーティゾン美術館所蔵
◎《大きな樹のある南仏風景》(1924)
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歪んだ構図
荒々しいタッチ
生々しい躍動感
ポンピドゥー・センター所蔵
◎《ベルボーイ》(1925)
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激しくデフォルメされた人物像
赤をメインとした濃い色調
その表情には
人間の暗部が垣間見れるようです
さらにさらに
◎《テーブルと肉》(1919)
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◎《人物のいる風景》(1918-1919)
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◎《ヴァイオリンのある静物》(1922)
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◎《カーニュの風景(ラ・ゴード)》(1923)
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◎《エイの静物》(1924)
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ふぅ
強烈ですね
赤を基調とした鮮烈な色遣い
歪んだ空間構成
その
ほとばしる生
暗く陰鬱な世界観が
観る者を圧倒します
というわけで
ああ
いつか日本でも
異能の人、スーティンの
大きな規模の回顧展が開催されることを
切望する今日この頃です
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