映画『薔薇の名前』

1986年製作
フランス・イタリア・西ドイツ合作の
『薔薇の名前』
↓↓↓
イタリアの文豪
ウンベルト・エーコの同名小説を
フランスの名匠
ジャン=ジャック・アノー(1943-)が映画化
↓↓↓
中世イタリアの
厳かな修道院を舞台に繰り広げられる
ゴシックミステリーの傑作です
…
1327年の北イタリア
修道士のウィリアムと弟子のアドソは
教会の重要な会議に出席するため
断崖絶壁に位置するベネディクト修道院を訪れる
↓↓↓
到着してすぐ
若い修道士の不審死を告げられる
ウィリアムは事件の解明を依頼されるが
程なくして第2の殺人が起こる…
↓↓↓
そんな中でウィリアムは
知性に裏打ちされた鋭い洞察力で
少しずつ真相へと近づいていき
そして…
↓↓↓
と
原作を読んでいないので
なんとも言えませんが
はたしてどこまで忠実に映像化しえたのか
よくよく本作は
むやみな深掘りを要しない
まあ
体のいい娯楽作に仕上がっています
…が
本作で描かれる
中世ヨーロッパの深遠で不穏なムードは
ちょっと特筆に値し
舞台となるイタリアの修道院の
暗く閉鎖的な空間造形や
人物たちの衣装、調度品など
当時の生活を忠実に再現したであろう
ディテールの数々に見る
リアルな風合いは
まるでドキュメンタリーを観ているような錯覚を
観る者にもたらします
お
興味深い写本の風景
↓↓↓
様々な宗派が集まっての
緊張感漂う会議の様子
↓↓↓
そうして
ウィリアムと弟子アドソのコンビが
絶妙なかけ合いで
事件の核心へと迫り
複雑に絡み合った糸が
ひとつひとつほぐれていき
次第に全貌が明らかになります
↓↓↓
信仰、教会、戒律、権力、常識、統制、論理…
vs
知識、異端、笑い、愛、女性、解放、感情…
この
決定的対立
激しいせめぎ合い
自ずと浮かび上がる教会の欺瞞
偏狭で排他的なあり方
それは
危険視される“笑い“
焚書の愚業
そして
本作において
重要な鍵を担う女性の存在
↓↓↓
…から
如実に示されます
つくづく
陰謀渦巻く中世ヨーロッパの
陰湿で抑圧された世界
その中を
知性と勇気で切り込むウィリアムとアドソ
それはそうと
役者陣が揃っていますね
修道士ウィリアムに
名優ショーン・コネリー
もう圧倒的な貫禄と存在感です
↓↓↓
見習い修道士アドソには
まだあどけない(!)
クリスチャン・スレーター
↓↓↓
敵役の異端審問官に
F・マーリー・エイブラハム
↓↓↓
とまあ
そんなこんな
緻密に積み重ねられたディテールが生み出す
重厚で魅惑的な世界観
いやあ
素晴らしいですね
というわけで
『薔薇の名前』
まさに極上のミステリー
あらためて必見です
この記事へのコメントはありません。