映画『シェルブールの雨傘』

6月ももう終わりですね 

ジメジメした梅雨が過ぎて

まもなく暑い夏がやってきます

夏を迎えるその前に

雨の季節にこそ観たい一本

1964年のフランス映画

ジャック・ドゥミ監督の

『シェルブールの雨傘』

↓↓↓

IMG_9824.jpeg

いやあ

この映画

素晴らしいの一語に尽きます

驚嘆すべきは

全編を通して

セリフがすべて

登場人物たちは

みんな

歌で会話するという斬新な演出

物語

1950年代後半

フランスの港町シェルブールで

小さな傘屋さんを営む母と娘

娘には結婚を誓った恋人がいたが

恋人はアルジェリア戦争のために2年間の兵役に赴く

娘は彼の子を身ごもるが

彼とはその間、音信が途絶え

娘は彼が戦死したものと思いこみ絶望する

やがて娘は宝石商の求婚を受け

幸せな家庭を築くが

彼は戦争から無事帰還していて

結局、すれ違いのまま別の女性と結婚する

そして数年後

雪の降る夜に

お互いばったりと出会い

シンプルなラブストーリーにして

異色のミュージカルです

戦争

灰色の港町

雨に濡れた石畳

悲恋

暗いトーン

重く陰うつな題材、舞台の上に

塗り重ねられる

カラフルでロマンチックな世界

衣装やインテリアに

赤やオレンジ、ピンクなどの原色を施す大胆さ

↓↓↓

blog_import_64426b37b09d9.jpg

中でも見事な金髪に

カラーのインナー

そしてバーバリーのトレンチコートを着た

主演のカトリーヌ・ドヌーヴの可憐さ

全編

歌による華やかなセリフ回しと相まって

映画は

明るさと暗さ

楽しさと悲しさが

奇妙に融合した

そんな独特の深みを宿した世界観を醸します

↓↓↓

blog_import_64426b3a54f83.jpg

いくら明るい原色を配しても

どこか物悲しさがにじみ出て

現実を夢で塗りつぶし

でもそうすればするほど

結果

戦争によって引き裂かれる

若い恋人たちの苦悩が

いっそう際立ってしまう

いやあ

冴えわたる演出のドゥミ

音楽のミシェル・ルグラン

主演の若きドヌーヴ

この三位一体によって生み出された

映画表現の新たな地平

オンリーワンの称号を得た作品にのみ

時代を超えて

いつまでも降り注ぐ聖性

決して色あせることがありませんね

ところで数年前

リバイバル上映でこの映画を劇場で観た際に

ドヌーヴファッションに身を包んだご婦人たち

トレンチコートやブーツ

そして雨が降っていたせいもあって

かわいい雨傘を持った人たちを

こころなしか多く見かけ

観にきていたお客さんたちに

ある種の一貫性を感じたのを覚えています

『シェルブールの雨傘』を観に行く日に

雨が降ってくれたのを

心から喜んでいるような

なんだか

そんな無邪気な年配の人たちで

いっぱいだったように思います

いやあ

名作です

関連記事

  1. (株)第二営業部

    なんといってもこの映画は音楽だと感じていました。実をいえば、それ以外にはヒロインの美しさを除いて、余り記憶がないんです(笑)。今回も作品の奥行を勉強できました、ありがとうございます。

  2. チョー!

    >(株)第二営業部さん
    なんてったってドヌーヴがかわいいですよね(#^.^#)。
    コメントありがとうございますo(^▽^)o!