映画『あの子を探して』
先日
久々にTVで観ました
1999年製作の中国映画
『あの子を探して』
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監督は
『紅いコーリャン』(1987)、『菊豆』(1990)、『活きる』(1994)など
数多くの名作、傑作を生み出した中国の巨匠
チャン・イーモウ(=張芸謀、1950-)
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大好きな監督です
農村部の小学校に代用教員として赴任してきた
若干13歳の少女ミンジ
一ヶ月間、代理の勤めを全うしたら50元の報酬をもらえるという
ただその一念で
またその間、生徒が一人も減らなかったら
さらにもう10元プラスという
そのお金ほしさに
教員を引き受けるミンジ
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ふと
主には生活の困窮などで
子供を学校に通わせられない
そんな中国農村部における現状を
映像の端々から察することができましょうか
そうして
代用教員ミンジと子供たちとの
つかの間の学校生活が始まるわけですが
授業の仕方も何もわからない少女のミンジは
黒板に書いた文字を生徒たちに書き写させるのみ
いやあ
嫌々ながらそれでも勤めを果たそうとする
このミンジ役の女の子の
正直でひたむきな表情がとてもいい
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子供たちも含めて出演者はほぼ全員素人だという
その自然でリアルな風情が
ドキュメンタリーを観てるような錯覚を覚えます
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と
そんな折
クラスで一番やんちゃな問題児ホエクーが
突然学校に来なくなります
家を訪ねると
病気の親に代わって町に出稼ぎに行ったとのこと
一人でも生徒が減ると特別報酬をもらえないミンジは
直接、町へ行きホエクーを連れ出そうと考えます
しかし町まで行くバス代がありません
ミンジは強引にも生徒たちから有り金を全部出させ
それでも足りない分を捻出しようと
頼まれもしないレンガ運びを生徒たち全員を引き連れて敢行
主人からお金をもらうもまだ足りず
ついには町まで歩いていこうとし…
と
そうしたプロセスを通じて
ギクシャクしていたミンジと生徒たちが
知らず知らずのうちに打ち解け
一体感に包まれる不思議
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とまあ
一事が万事この調子で
ミンジの行き当たりばったりの行動には
終始、驚かされっぱなし
見知らぬ都会に来たはいいものの
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ホエクーのわずかな手がかりもラチがあかず
有り金をはたいて紙と筆と墨汁を買い
尋ね人の貼り紙を一晩かけて何十枚も書くも
道端で眠っている間に風で飛んでいってしまう始末
ついにはテレビ局の門を叩き
局長に会いたいと訴えるも
文字通り、門前払いに遭います
しかし
ここからが圧巻
本作の見せ所
それでもあきらめきれないミンジは
出入口の門に立っては
TV局の庁舎から出てくる人に片っ端から声をかけ
局長を探し当てようとするのです
もう意地の世界ですね
無一文で水道の水を飲んでしのぎながら
門の前に立ち続けます
一体
何が彼女をここまでさせるのでしょうか
と
そんな中
やがて
ついに…
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いやあ
ミンジの行動はいくらなんでも無茶
あまりに無謀すぎます
でもここまでくると
もはや
呆れるを通り越して
正直
感動で胸が詰まります…
動機は不純でもなんでもいい
最初はただお金ほしさからだけかもしれません
でも必死に探し続けるうちに
本当にホエクーのことが心配になってくる
ふと
ホエクーを探す行為は
自身、生活苦にあえぎ
先行きの見えない境遇にいるミンジにとっての
これはある種
生きる糧にもなっていたんではないでしょうか
単なる意地のレベルを通り越した
己の境遇に対する強い反骨心にも似た感情…
そして
映画だろうが
演技だろうが
実際に声をかけ続けたであろう
ミンジの真摯でひたむきな姿は
まぎれもない本物
ホエクーを思う気持ちは
リアルな質感を持ったそのフィルムに
嘘偽りなく克明に刻まれているのです
これこそが真実なんですね
何より映画は
貧困によって生徒数が減り学校閉鎖が相次いでいる
製作当時の中国農村部の現実を
問題提起として垣間見せ…
う〜ん
つくづく
そのかぎりなくドキュメンタリーに近い
素朴でたくましい原初の姿のような映像の数々に
心底
驚きと
そして感動を覚えた次第です
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と
それはそうと
チャン監督は一体
どうやって本作を撮ったんでしょうか⁈
どうやって子供たちを演出し
あんな自然な表情を引き出すことができたんでしょうか⁈
こんなドキュメンタリー・フィルムもあります
僕はまだ観てませんが
チャン監督の演出手法に興味津々
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というわけで
『あの子を探して』
稀に見る傑作です
ちなみに話は変わりますが
数年前
当時、社内で定期的に行っていた管理職向けの理念勉強会の場で
この『あの子を探して』を
皆で鑑賞し意見交換をしました
って
ポカンとした反応も多く
ちょっとまちまちな感想でしたが
この映画から多くの学びや気づきを僕なりに感じとってほしくて
教材として選んだ次第です
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