映画『みじかくも美しく燃え』
1967年製作のスウェーデン映画
『みじかくも美しく燃え』
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1889年にスウェーデンで実際に起こった心中事件を
ボー・ヴィーデルベリ監督が映画化
伯爵の称号をもつ貴族で
妻子もいる陸軍中尉シクステンと
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サーカスの綱渡り芸人エルビラの
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身分違いの決して許されぬ恋
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二人は森の近くの宿屋に留まり
つかの間
平穏な日々を過ごすも
程なくして身分が知れてしまい
逃れるように宿を後にします
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しかし次第に行き場がなくなり
お金も底をつき
精も根も尽き果て…
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脆く儚い
一瞬の生の輝き
その刹那的なあり様
映画は禁じられた恋に溺れる二人の逃亡生活と
やがて訪れる悲しい結末を
全編
ため息の出るような美しい映像で
丹念に紡いでいきます
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特には
モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の優雅な調べに乗って
野原で蝶を無心に追いかける2人の姿を
スローモーションで捉えた映像の
眼を見張る美しさ
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本作が映画初主演のピア・デゲルマルクの
どこまでもピュアな素の表情と長い金髪
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そして髪の色とよく合った黄色い服が
自然光に映えて
とにかく魅力的です
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ふと
ドキュメンタリーのようなリアルな肌合いを持つ一方
陽の光を浴びた二人を捉えた
そのあまりの美しさゆえに
およそ現実的でない
夢のような世界
いや
むしろ
あの世にいるようにさえ見えます
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う~ん
あんまり綺麗だと
どうにも不安な気持ちにさせられますね
つくづく生と死が隣り合わせ
死がちらつくがゆえに
生がいっそうの輝きを得るこの逆説
そんな背反するものが互いにせめぎ合う
まさに両極を内包した世界観こそが
僕は“共生”の究極のあり方ではないかと
常々思っていまして
そうした表現を
本作の端々に見てとることができます
と
こぼれ落ちるワインの赤
周囲の人々の怪訝な目
困窮を極める二人の生活…
全編にわたって
モーツァルトのピアノ協奏曲や
ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲『四季』が流れ
いっそうの華やぎと彩りをもたらす中で
映画は次第に不穏な色を帯びていき
やがて悲劇的な最期を迎えます
ストップモーションの映像に2発の銃声という
象徴的なラストシーン
いやはや
なんともはや…
というわけで
“一瞬”の中に“永遠”を封じ込めた
鮮烈なる美の世界
今さらながら
まこと稀有な映画です
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