映画『イン・ザ・シャドウ・オブ・ザ・サン』
先日
実験映画について
少々取り上げましたが
記事は→こちら
今回はオススメ
…では決してありませんが
1本の秀逸な実験映画をご紹介
1981年公開のイギリス映画
『イン・ザ・シャドウ・オブ・ザ・サン』
(=『In the Shadow of the Sun』)
↓↓↓
監督は
エイズによってこの世を去った
イギリスの異才
デレク・ジャーマン(1942-1994)
↓↓↓
彼は若い頃から
個人映画と呼ばれる
いわば実験フィルムを多く撮っていて
本作は
彼のキャリアにおける
ほぼ最初期の映像
1972年から1975年にかけて撮影された
スーパー8㎜によるフィルムを
16㎜にブローアップして一部使用
色彩効果を施して
3〜6フレーム減速し
54分に編集
そこにイギリスのバンド
スロッビング・グリッスルの
奇妙なサウンドを後付けして完成
ふぅ
そうして出来上がった映像は
現世のものとは思えない
美しくも
悪夢のような世界観が創出されています
↓↓↓
…
ある廃墟で倒れた男を
何やら撮っているひとりの男
↓↓↓
火に囲まれた儀式的な空間で
倒れている男は何者?
↓↓↓
オーバーラップする
炎、水、飛沫、吹雪…
↓↓↓
ふと
人間なのか
悪魔なのか
亡霊のような薄気味悪い存在
↓↓↓
頭蓋骨の仮面の存在
↓↓↓
土俗的な踊り
↓↓↓
ふと
想起されるのは
オカルト、呪術、神秘主義
不気味な黒魔術の世界…
↓↓↓
歪んだ現実の姿
粒子の粗い映像
幾重にも重ねられたフィルム
それらが次第に融解する様…
↓↓↓
およそ判別不能な
しかし決して平穏ではない
よくよく
これは紛れもない
終末論的ペシミズムに覆われた
まさに地獄のイメージ
↓↓↓
そこにかぶさるように
唐突に流れる
スロッビング・グリッスルの
不協和な電子音
しばしば不快なノイズ
スーパーインボーズ(二重焼き)によって
映し出されたその映像は
まるで
無意識の世界
夢の中で見る光景のように
緩慢で
どこか懐かしく
しかし
ひとつひとつは
断片的で
脈絡がなく
自ずと
不吉な未来を予感させる
不穏で邪悪な異世界
そんな尋常ならざるムードが
画面全体を覆っています
↓↓↓
ストーリーはなく
ここに映し出されるのは
ジャーマンが抱く
この世の終わり
ゆっくりと沈んでいく
いわば
黙示録的なビジョン
ふぅ
なんという没入感でしょうか
↓↓↓
よくよく
果たして
映画とは
一体何でしょうか?
あらためて
ジャーマンの実験映像に見る
純度
特異性
前衛的な革新性
オリジナリティ
の強度を
まざまざと思い知らされる次第です
↓↓↓
というわけで
映画『イン・ザ・シャドウ・オブ・ザ・サン』
いやあ
われながら
ちょっとマニアック過ぎましたね…
失礼しました
おまけ
デレク・ジャーマンについて
以前書いた記事は→こちら
この記事へのコメントはありません。