映画『海を飛ぶ夢』

2004年製作

スペインのアレハンドロ・アメナーバル監督の

『海や飛ぶ夢』

↓↓↓

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この映画

とても考えさせられましたね

この作品は

若い頃

海に飛び込んだ際に誤って首を強打し

全身不随となった男の実話で

26年間寝たきりの生活を送っていた主人公が

やがて自ら

死を選択するに至る様を描いています

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テーマはいわゆる「尊厳死」

この映画を観るまでは

この言葉自体いまいちピンと来ませんでしたが

主人公の長く深い思索の果てにたどり着いた

この「尊厳死」という結論には

絶望からではなく

むしろ希望から発せられた

とても前向きな意味合いを

感じ取ることができました

とはいえ

この映画は

「尊厳死」という結論を

肯定も否定もせず

あくまでもニュートラルに捉えています

というより様々な考え方や立場によって

捉え方が変わるんだということ

そういう意味では

逆に死ぬという権利も

人間にはあるんだということを

この映画では暗に訴えているように思います

これは

20年以上も寝たきりの生活を送っている主人公が

人生に絶望して自殺を図るといったような

そういった意味合いとは異なります

明らかにここでの主人公の死は

自殺ではありません

もっと前向きな

死を選ぶ

といったようなニュアンスです

と言っても僕自身

なかなか

自殺と尊厳死の区別がつかなかったりしますが

そして

ちょっとお約束のようですが

この映画は

共生とは何か

を鋭く突きつけてきます

映画の中では

様々な共生のあり方が模索されます

献身的な介護を続ける家族や

彼を取り巻く人たちとの交流

中には心を通わせる過程で

根源的なところで彼の人間性に触れ

彼の存在に助けられ

自分を取り戻しつつあった女性が登場したりもします

↓↓↓

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しかし「尊厳死」による様々な波紋が

安易な共生を阻みます

一方の側からだけでは

容易にわかり得ない矛盾があらわになります

結局

僕らは主人公の気持ちを

理解することはできないのか

人と人は

どこまでわかり合えることができるのか

この映画はそうした問いに

なんら答えを見出さないまま

そして尊厳死をめぐる様々な

法的な問題や周囲との葛藤を残したまま

やがて主人公は死に至ります

この映画は「尊厳死」というテーマを軸に

いろいろな価値観の人物たちが登場し

様々な思いが交錯し

一つに収束しないまま終わります

そうした相容れない矛盾を

ありのまま提示するのみで

あくまで判断は

観ている側それぞれに委ねられています

そして重いテーマにもかかわらず

映画は微塵も暗さを感じさせません

全体のトーンはやさしく

不思議な一体感をもたらしています

つまり

多様な価値観

いつまでも解決しない矛盾

そうした混沌全てを内包した世界こそが

僕たちの現実であり

人はみな

つや二つの矛盾を抱えながら生きているのです

僕はこの映画を観て

心底共生は難しいと思いました

しかしだからといって

絶望的な感情は抱きませんでした

むしろ難しいからこそ挑戦しようと

素直に思いました

この映画は

絶望の中に希望を見出しています

その象徴として

寝たきりの主人公が

海を飛ぶ夢のシーンがあります

本当に美しいシーンです

↓↓↓

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夢と現実

相反するかのような

それらの共生

この主人公は誰よりも自由です

この映画は真に優れた人生讃歌なのです

う~ん

このアメナーバルという監督

ただ者ではありませんね

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  1. チョコ

    はじめまして。
    この映画懐かしいですね。初めて観た時衝撃を受けたと同時に若いながらも深く考えさせられた作品でした。今でも私にとって大事な作品の一つです。
    突然失礼しました

  2. チョー!

    >チョコさん

    コメントありがとうございます(^人^)。
    僕も観終わった後、あれこれと考えてしまいました。しかし自分の中で明確な結論は出なくても後味が全然悪くない、むしろとてもさわやかな気分になりました。いい空気が画面いっぱいに溢れているんでしょうかね…?!