伝説のブラジル映画

もう終わってしまいましたが

渋谷のユーロスペースにて上映

『グラウベル・ローシャ・ベストセレクション』

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グラウベル・ローシャ(1938-1981)

196070年代

ブラジルの革新的な映画運動

シネマ・ノーヴォの先導者として

一世を風靡しながら

わずか43歳で急逝した

伝説的な映画監督です

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ローシャの映画は

日本ではほとんど上映されず

僕もわずか3本のみしか観たことがありませんでした

(昨年、ブラジル映画特集という稀有な企画が渋谷で行われ

そこでローシャの旧作『切られた首』が上映)

今回なんと

代表作2本を含む計5作品が

1ヶ月間にわたり上映されるという

まさに夢のような企画が実現

配給元の日本スカイウェイさん、大英断ですね

って

ちょっとマニアックすぎますかね

でもこの湧き上がる喜びを

どうにも押さえきれない僕が

そこにいます

(はぁ~)

ということで

気を取り直して

あらためて5作品を観賞

◎『黒い神と白い悪魔』(1964)

ブラジルの風土、風習、人々の生活、信仰心、階級問題

ブラジル映画のパワーを

世界に知らしめた代表作

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◎『アントニオ・ダス・モルテス』(1969)

『黒い』の姉妹編で

善悪で括れないブラジルの混沌を

祝祭のイメージで

よりエモーショナルに推し進めたローシャの最高傑作

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渇いた風土の中で繰り広げられる

詩的でファンタジックな世界

しかしドキュメンタリーを見ているような

どこまでもリアルな風合いが

独創的なワールドを構築しています

ほかに

◎『バラベント』(1962)

ブラジル停滞の遠因を

古い因習のなかに見出したデビュー作

◎『狂乱の大地』(1967)

60年代当時のブラジルの

政治的な混乱と課題を白日にさらした野心作

◎『大地の時代』(1980)

沸き上がるブラジルパワーを

音楽的に表現しようとを試みた遺作

いやあ

感無量でしたね

こう

なんていうんですかね

観ていて

まったく予測がつかないんですよね

この映画はどこから来て

一体どこへ行こうとしているのか

ほとんど理解不能

そのポイントが全然つかめないんですよね

僕らが普段から当たり前のように観ている映画

とは一線を画した

異質な映像、テンポ、空気

僕らが知っている映画

それはすなわち

ハリウッドに代表される

ストーリー(シナリオ)中心の映画です

このブラジル映画は

そうした全世界の市場に流通し

すでに映画の定型として

浸透されて久しい一般的なる映画とは

明らかに違うベクトルで作られています

じゃ一体それはどのような方向性なのでしょうか?

グラウベル・ローシャの目指した映画

シネマ・ノーヴォという映画運動とは

どういったものか?

ローシャは帝国主義の価値観、常識を

主にはハリウッド映画のそれにみたて

そうした商業映画から

脱却し自由になるための

真のブラジル映画を志向し模索したのです

そのために

題材もすべてブラジルの風土、現実、民族的なるものを用いて

帝国主義に支配されることのない

ブラジル本土の荒々しい原初の姿

固有の価値観をフィルムに収め

ブラジルが抱える矛盾までも明らかにし

それらをもって先進諸国と対峙しようとしたのです

まあポスト・コロニアリズムってやつですね

つまりローシャにとって

映画を創る目的

それは

主に文化面における

ブラジルの革命

独立

植民地支配からの自主的解放であり

映画が果たす役割を

民族的な鼓舞

目的の共有

ありのままの現実や課題を提示するためのツール

さらに言えば

映画を明確な武器と定めたのです

う~ん

2011年のいま

日本に住む僕なんかと

あまりにもかけ離れた世界

1960年代のブラジルという

まったく何の接点も見出せない未知なる世界

どだい僕らに理解しろってほうが難しいですよね

しか~し

知らない世界だから惹きつけられるのです

まったく異なった価値観に触れることができるからこそ

映画は面白いのではないでしょうか

僕は強くそう思います

ブラジルの根深い因習

古くから伝承される民族音楽

照りつける太陽

灼熱の焦土

アナーキズム

サンバの喧騒

サボテン

階級

宗教

原色

矛盾

狂気

情熱

静寂

いやあ

とにもかくにも

その豊穣なる世界に酔いしれ

映画の持つパワーを体感せよ!

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