体験と経験
ふと
体験と経験の違いって
何でしょうか?
昨日ご紹介した
佐藤勝人さんの本にも記載されていましたが
体験は
自分が身をもって経験すること
コトバンクでは
「自分で実際に経験すること。
またその経験。」
とあります
一方
経験は
人間が外界との相互作用の過程を意識化し
自分のものとすること
う~ん
ちょっとわかりづらい…
コトバンクでは
「実際に見たり聞いたり行ったりすること。
それによって得られた知識や技能など。」
とあります
つまり
体験は
あくまで
自分が実際にやってみること
そのものに限るのに対して
経験は
自ら味わった体験によって
知識や技能を得るだけでなく
本を読んだり
セミナーに出たり
他人の話を聞いたり
そうした見聞や擬似体験をすることも含まれる
ということなんですね…
佐藤さんご自身は
身をもって体験して学ぶという
スタイルを基本にしているそうですが
体験一辺倒では
どうしても限界が生じる
ということに思い至り
今は
体験と経験を
7:3くらいの割合で
バランスよく混ぜ合わせることが
大事だとおっしゃっていますね
まあ僕もこうした意見に
もちろん異論はありませんが
ただ
本を読んだり
人の話を聞いたりしただけだと
どうしても自分のものにまでは
なりづらいかな、と
自ら痛い思いをしたり
お金や時間など
自分の大切なエネルギーを
持ち出すリスク
何が何でも得ようという覚悟
などがないと
う~ん
腹までは落ちていかないかな…
見聞を
自分の経験値までに高めるには
至らないかな…
と
ここで
いきなりですが
体験と経験にまつわる
ユニークな実例として
一人の画家をご紹介
フランスの素朴派の画家
アンリ・ルソー(1844-1910)です
ルソーは
20数年間
パリの税関の職員を務める傍ら
あくまで趣味として
絵を描いていましたが
税関を退職した50歳代に
本格的に画業に身を投じ
誰に師事するでもなく
独学で絵を描き続けます
ルソーの絵は
真正面を向く人物や
遠近感のない風景など
かなり風変わりでして
当初は素人の絵だと揶揄されます
しかし
なかなかどうして
葉っぱ一枚に至るまで丹念に描きこまれた
その独特のタッチの絵は
徐々に異彩を放ち
やがて
20世紀初頭の
のちのシュルレアリスムなどを
先取りしたとも言える
シュールで幻想的な世界観を
創造するに至るのです
《蛇使いの女》(1907)
↓↓↓
《夢》(1910)
↓↓↓
そして
ここが
ルソーの特筆すべき点なのですが
彼の作品には
例えば
南国のジャングルを
舞台にした絵が多数ありますが
ルソー自身は
実際には
南国へ一度も行ったことはなく
なんと
パリの植物園でスケッチした
様々な種類の植物や
写真や雑誌の挿絵を参考にして
それらを
自由奔放に組み合わせて
自作に描きこんでいたのです
そうして
出来上がった作品群の
なんという独創性
先入観にとらわれない
自由で豊かな感性…
う~ん
ルソーの
類稀なる想像力
飽くなき好奇心
真実を探求し
それを絵画で表現しようという強い意欲
それらは
体験を
はるかに凌駕し
自分の経験値とするのに
あまりあるものでした
まあ芸術家の場合と僕らでは
なかなか相入れないものがありますが
それでもなんらかの
ヒントになるはず
あらためて
感性とは?
またまた
コトバンクによりますと
「物事を心に深く感じ取る働き。
感受性。」
また
「外界からの刺激を受け止める感覚的能力。」
というわけで
体験と経験を通して
己の感性を磨き養い
そうして自身の表現を追求していく、と
う~ん
思索は続く…
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