映画『ウエスタン』
先日
TVで放映されたのを久々に観ました
1968年製作の
『ウエスタン』
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長い長いオープニング
照りつく太陽のもと
荒野にある寂れた駅で
ジリジリと列車を待つ三人の男
軋む駅のドア
しつこくつきまとうハエ
ポタポタと帽子に流れ落ちる水滴…
やがて列車が到着し
一人の男が現れ
そして…
最初の対決まで
焦らす焦らす…
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遠近法を活用した人物の配置などによる
クールな構図
クローズアップを多用した独特のカメラ回し
極端に少ないセリフ
モチーフとなるハーモニカの音色…
いやあ
しょっぱなからもう掴みOKです
世にあまたある
古き良きアメリカ映画の伝統的なジャンル
西部劇の中で
何を隠そう
僕が一番好きな映画です
監督は
“マカロニ・ウエスタン”の巨匠
イタリアのセルジオ・レオーネ
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それにしても
この映画
全編のシーンにわたって
いちいち間延びしてます
とにかくもったいぶってます
普通に撮れば短くて済むものを
レオーネにかかればたちまち2倍以上の長さに…
おかけで本編は175分もの長尺に…
しか~し
…なんですよ
“マカロニ”で培ったこだわりぬいた映像に
モリコーネの哀調を帯びた切ない音楽が重なることで
おのずとにじみ出る味わい
神話的ムード漂う
その悠然たる風情
堂々たる風格
さらに一見冗長に見える演出も
なんのなんの
スローからアップテンポへと移る
その変わり身の速さ
映画は
緩急を織り交ぜつつ
片時も飽きさせず
観ているこっちは終始画面に釘付けです
映画の時代背景は
移動手段が馬から列車へと取って代わろうとする
アメリカ西部の激動の転換期
そんな西部開拓史を
流麗なカメラワークが生む
壮大なスケールと緻密なディテール
一人一人の美学がにじみ出る魅力的な登場人物たちを配して
象徴的に描ききります
ハーモニカを手放さない謎の男に
チャールズ・ブロンソン
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達観した眼
マイノリティーの宿命
徐々に真相が明らかになる様がグッときますね…
レオーネ独特の超クローズアップ
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ユーモア漂う人間臭いお尋ね者に
ジェイソン・ロバーズ
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そして
アメリカの良心
西部劇の英雄と謳われたヘンリー・フォンダが
非情な悪役を演じます
これがまたハマっています
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紅一点
西部に新たな人生を見出す未亡人に
クラウディア・カルディナーレ
気丈でそれでいて可憐
最高ですね
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駅を中心に
人々の生活の拠点となる町を建設することを夢見た
亡き夫の構想を
クラウディア演じる未亡人が
意を決して一歩一歩実現しようとします
荒れ果てた荒野に一本一本線路を引き
蒸気機関車を走らせるシーンは
壮観であると同時に
なんとも象徴的ですね
まさに時代の終焉と新しい幕開け
そして
鉄道工事に従事する大勢の労働者たちを尻目に
時代に取り残されたガンマンたちが
自分たちの居場所
…ならぬ
死に場所を求めて
荒野をさすらいます
ラストの一騎打ち
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ここでもなんとまあ
長い長い焦らし…
自然とあぶり出される人物たちの背景、心情
突如訪れるその時
静から動へ
一発で決まる無情…
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虚しさ漂う
静かな余韻…
う~ん
しびれます
本当にかっこいい映画です
ちなみに
人々の活気にあふれた建設中の町に
資材を積んだ汽車が到着する様を
長回しによる俯瞰で捉えた見事なラストシーンに
弧を描いてかぶさるように
初めてタイトルである
本作の原題が映し出されます
『Once Apon A Time In The West』
ということは…
はい
晩年のレオーネが執念で完成させた遺作が
タイトルに負けじと尺も長いことで有名な
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)
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というわけで
いやあ
あらためて
レオーネ最高です
この監督が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を撮っていたなんて!
映画の解説に、本当にワクワクしてしまいます。
いちいちそうなんだと、その奥行き感を知ることの楽しさがたまりません。
いつもありがとうございます。
>(株)第二営業部 教授さん
いやあ、いつもお読みいただきありがとうございます(^^;;❗️