小津映画の神髄

黒澤明、溝口健二とともに

かつての日本映画黄金期を支えた

世界に誇る巨匠のひとり

ご存じ

小津安二郎(1903-1963)

↓↓↓

blog_import_6442b16b7b7fa.jpg

先月立て続けに

小津作品がBSで放映してまして

思わず何本か観ちゃいましたね

昨年9月に亡くなった伝説の女優

原節子(1920-2015)

追悼の意も込めての放映だったようです

↓↓↓

blog_import_6442b16e017cf.jpg

監督の小津

そして出演の原節子にとっても代表作となった

『東京物語』(1953)

↓↓↓

IMG_0594.jpeg

いやあ

何度観てもいいですね

小津の映画は

基本的には家族の話ばかりで

他の小津作品も

シチュエーションを変奏するのみで

正直どれもみんな一緒

さらには

小津組と呼ばれ

固定されたスタッフやキャストを好んだゆえ

立て続けに何本か観ると

ついこんがらがっちゃうほど

ひたすらに同じ役者が出演してます

う~ん

しかし

どれもこれも最高なんです

『秋日和』(1960)

↓↓↓

IMG_0596.jpeg

『彼岸花』(1958)
↓↓↓

IMG_0597.jpeg

若き岩下志麻が魅力的な小津の遺作

『秋刀魚の味』(1962)

↓↓↓

IMG_0598.jpeg

おっと

個人的に最高傑作はこれかなと思います

『麦秋』(1951)

↓↓↓

IMG_0602.jpeg

「小津調」と称されたその特異な作風と

作品に息づく世界観

とにかく演出がユニークです

撮影手法も独特

カメラは常に低い位置に据えたローポジション

↓↓↓

blog_import_6442b17081107.jpg

(余談ですが

小津監督はカラー作品になってから

画面のどこかにアクセントで赤を入れるのを好んだそう)

パンやズームなど

カメラを動かすことは一切せず

三脚を立てたFIX(=固定画面)のみという

シンプル極まりないショットの積み重ね

中でも当時では珍しい

というより

なかば反則技とも言われた

人物を真正面から捉えたショットの多用

↓↓↓

blog_import_6442b172de9ab.jpg

おっと

こちらもよかったですね

二代目中村鴈治郎が

旅芸人一座の座長を茶目っ気たっぷりに演じた

『浮草』(1959)

↓↓↓

IMG_0599.jpeg

役者たちの演技も

往々にして抑制された感情表現

最小限の動きと

必要最低限のセリフ回しで

同じフレーズを何度も繰り返す

同じ場面や場所が映し出され

同じカットを何度も使用する

そうした人物たちの動きやセリフ回しを

独特のトーンによるユーモアを保ちつつ

心地よいリズムで繰り返す

その絶え間ない運動

反復の妙

う~ん

違和感のある構図、セリフ、テンポ

リアルというよりは

むしろ

とても映画的

より存在が際立つ役者たちの立ち居振る舞い

でも

役者たちはどこまでも自然体が求められます

監督お気に入りの名優

笠智衆の佇まい、セリフ回しが

まさにそんな監督の美学を見事に体現

つくづく

本当の自然とは

実は不自然なのかもしれないなぁ

↓↓↓

blog_import_6442b1756651b.jpg

つまりは

ミニマリズムなんですよね

感情も動作もセリフの数も撮影手法も使う画も

そぎ落としてそぎ落とす

必要最低限のものだけで表現する

これは

日本の伝統芸能

能にも通じる

ある種の

様式美

引き算の美学であり

まあ

過剰や饒舌は野暮なんですね

そうした節度から喚起される

豊かな想像力

小津映画には冠婚葬祭シーンが多いのですが

礼服はもちろん

喪服姿の慎ましい女性たちに

そこはかとなく漂う色気

↓↓↓

blog_import_6442b177ea266.jpg

これも傑作でした

『小早川家の秋』(1961)

↓↓↓

IMG_0600.jpeg

黒づくめの

着物姿の

上げた後ろ髪の

うなじのあたりに見る

貞淑

抑制された姿から生まれる

あらぬ妄想

って

おっと

考えすぎでしょうか

でも

これぞ映画的表現の妙味ですよね

そういえ

こちらも見ようによっては妖しい映画でしたね

父と娘を描いた名作

『晩春』(1949)

↓↓↓

IMG_0601.jpeg

こう

小津映画のある種の健全さ、潔癖さゆえ

どうにも

アブノーマルなまでに

想像をたくましくさせられる僕がいるんですよね

ハハハ

端正でミニマムな映像

一定のテンポで繰り返される反復のリズムを

一瞬

ずらす

監督が定めた

慎ましいまでの

厳格なルールを

自ら

あえて

破る

一定の抑揚の登場人物たちが

垣間見せる

情感のひだ

戸惑いや寂しさ、物悲しさなどの

かすかな感情の変化

それによって

観ている側に芽生える

感情の揺らぎ

野田高梧との共同執筆による

練りに練った脚本と厳選されたセリフ

う~ん

わずかな変化を見せられただけで

観ている側は

ついホロリとさせられちゃうんですよね

いやあ

話が尽きないですね

そろそろこのへんにしときます

小津監督が

世界の映画作家たち

例えば

ヴェンダースやカウリスマキ、侯孝賢などなど

後世に与えた影響は計り知れません

というわけで

あらためて

小津安二郎、必見です

小津映画の神髄を是非ご堪能あれ

関連記事

  1. 小津映画は自分には難しくて分からないことばかりでしたが、解説をしていただき多くの気づきを得られました。また、自分が疑いを持って見ていた部分が、自分だけではなく、錯覚でもなかったのだと分かってよかったです(笑)。
    ありがとうございました。

  2. チョー!

    >(株)第二営業部 教授さん
    コメントありがとうございます^ ^。
    よくよく観れば違和感だらけですが、そこが面白いとこなんですよね^_−☆