映画『M★A★S★H』
1970年製作のアメリカ映画
『M★A★S★H』
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朝鮮戦争の野戦病院
正確には移動米軍外科病院(Mobile Army Surgical Hospital=MASH)を舞台に
そこに配属された3人の軍医の
破天荒な騒動を描いたブラックな群像劇です
監督は鬼才
ロバート・アルトマン(1925-2006)
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いやあ
久々に観ましたが
相変わらずハチャメチャな映画だなぁ
主人公の軍医たちは医療の腕は確かで
次々と運ばれてくる傷病兵たちを的確に処置しつつも
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いったん仕事が終わるや否や
もう規則などお構いなしにやりたい放題
猥雑ないたずらに明け暮れます
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この映画
問題児の軍医を演じる
ドナルド・サザーランド(左)と
エリオット・グールドを軸に
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終始くだらないから騒ぎが映し出されていきます…
う〜ん
ナンセンス・コメディとして
面白いっつっちゃ面白いんですが
そうは言ってもねぇ…
なんとも節操がなさ過ぎです
しかし本作は
本国アメリカやヨーロッパの若者たちに
熱狂的に迎え入れられ
なんとその年のカンヌ国際映画祭で
パルムドール(最高賞)を受賞したのですから
まったくをもって驚きです
つまりは時代性なんでしょうね
本作が作られた当時
アメリカはベトナム戦争真っ只中
でも泥沼化の一途を辿っていました
そんな中で若者を中心に起こった
ヒッピームーブメントによる反体制の気運が
にわかに盛り上がり
反戦、厭戦ムードがアメリカ全土を覆います
この映画はそうした時代の声に呼応
冒頭に流れる叙情的なバラード
『Suicide is painless(=自殺は苦しくない)』
というタイトルの
逆説的で諦念漂う歌に始まって
ドタバタコメディ特有の底抜けの明るさよりはむしろ
どこか物哀しさすら漂う
そんな70年代的な空気感を
見事に捉えることに成功しています
ちなみにアルトマン監督は
当初ベトナム戦争を舞台にしたかったそうですが
当時は戦争真っ最中のため
さすがにまずい
とのことで朝鮮戦争に変更したんだそうです
なるほどですね…
つくづく
戦争で瀕死の重傷を負った
兵士たちの手当てをする医療現場という
まさに死と隣り合わせの状況
…と相反するような
また
…であるがゆえに際立つ
ナンセンスな出来事の数々
よくよくアルトマンの
シニカルでアナーキーな精神が
画面の端々に息づいているのがわかります
またこうしたアルトマンの
反骨心あふれるスタンスは
映画の製作姿勢にも反映していて
彼はハリウッドメジャーによる
スタジオシステムに組み込まれることを嫌い
自分の撮りたい映画を撮るための独立性を
確保することにこだわる監督でした
この『MASH』は20世紀FOXによるプロデュースですが
本作一本のみの個別契約でして
製作背景はわかりませんが
明らかにスタジオ側の意向に沿うような内容じゃないですよね…
ストーリー自体
起承転結もなく
ひたすら過激なユーモアが延々続くという
ある意味
とても尖った映画ですからね
あらためてアルトマン監督が
アメリカ・インディペンデント映画の代表格と目される所以です
まあ小難しい解釈はさておき
表面的には『パラダイス・アーミー』(1981)など
軍物のエロ&ナンセンスコメディの原型でしょうか
というわけで
鬼才アルトマンの野心作
必見です
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