映画『ある結婚の風景』

1973年製作

スウェーデンの巨匠、イングマル・ベルイマン監督・脚本による

6話からなる4時間超のドラマ

『ある結婚の風景』

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ある中流のインテリ夫婦を巡る愛憎劇です

助教授の夫ヨーハンと弁護士の妻マリアンは

結婚10年を迎え

一見、平穏で幸せな家庭を築いていました

ある日、日常の何気ない会話から

唐突に

夫が愛人の存在を告白

それによって事態は一転

不穏な空気に包まれていきます

危険で残酷な本音

不安にさいなまれ

打ちひしがれるマリアンだが

しかしそれがきっかけとなって

思いもよらぬ互いの胸の内が

ドラマの進行に従って次第に明かされていきます

「愛のない関係

枯れる感情

鈍る感覚

突き刺さるセリフ

むき出しの感情とともに放たれる

容赦のない生々しい会話の応酬

劇中、目まぐるしく移り変わる

喜怒哀楽の感情

入り乱れる善意と悪意

う〜ん

相手を思いやることが遠慮につながり

結果、愛を殺してしまうという逆説

では本音をさらけ出すことが

果たしていいのでしょうか

映画は赤裸々な2人の姿を

ありのまま提示することで

観る者にその是非を問いかけます

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ふと

内面をさらすことによって

次第に抑圧された自己が解き放たれ

時に自由にのびのびとしていく2

そのプロセスがまるでカウンセリングのようで面白い

これは演じる役者たちにもまんま言える話で

緻密なリハーサルを積み重ねた中で

自ずと生まれる共鳴

ある種のシンクロ

そうなるともう即興でもなんでもありで

役者たちは役を自由に生き始めます

ベルイマン演出の真骨頂ですね

と同時に

自己回復の代償は決して小さくないはず

きっと感情が持ってかれちゃうだろうなぁ

本質に迫ることに伴う疲労感

自身に内在する悪意

絶えずつきまとう自己嫌悪、自責の念

本作では

それはたぶんに

信仰心に起因しているようですが

どこまでも相手あっての話

ある意味

そこをどう折り合いをつけながら

関係を維持継続していけるか

あらためて

夫婦って難しいなぁ

その中から次第にあぶり出される

絶対的なまでの孤独感

やはり本質的に

男は弱いなぁ

というより

女が強いのか

初回と最終回ではまるで別人ですからね

ベルイマンとの名コンビで知られるミューズ

リヴ・ウルマンが

繊細かつ、したたかな女性心理を

巧みに表現しています

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刻々と変容する2人の関係性

夫婦のあり方

愛の形

張り詰めた空気と共に延々繰り広げられる

濃密な対話劇に

いつしか陶酔にも似た心地を覚える僕がいましたね

いやあ

囚われているようで

でもつくづく自由だなぁ

巨匠ベルイマンによる

ただただ圧巻のドラマです

おまけ

演出中のベルイマン監督

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