映画『大地のうた』
ここんとこ
すっかりインドづいていまして
先日久々に
インド映画の“至宝”を再鑑賞
1955年製作の
『大地のうた』
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監督はインドを代表する巨匠
サタジット・レイ(1921~1992)
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彼の記念すべき長編第1作にあたります
何を今さらって
いやあ
あらためて
なんて素晴らしい映画でしょうか
1920年代のインド、ベンガル地方
とある小村のあばら屋で暮らす
父と母、娘と息子の家族4人の
慎ましい生活模様
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映画は
末っ子の男の子、オプーの視点で
生活苦にあえぎながらも
たくましく健気に生きていく様を
自然光を取り込んだリアルな映像で
克明に描写していきます
もう
ほぼドキュメンタリーですね
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なかば原始的な環境の中で
文字通り自然と共生しながら
営々と積み重ねていく暮らしぶり
貧しいけど
しかし
なんとも豊かで
そして
何より美しい
まさに清貧の極み
映し出されたモノクロの映像は
自然光に照らされて
画面の端々に
まるで神が宿っているかのような
ある種の聖性を漂わせています
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つくづく
異文化に触れる喜び
時代も価値観も何もかも違うゆえか
一目見たかぎりでは
何が描かれているのか
にわかに判別できなかったりで
まあ全編
新鮮な驚きに満ち満ちています
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それにしても
途中、貧しいオプーの家に
転がり込むように住みつく
親戚のおばあちゃんはじめ
出てくる人たちが
みんな生き生きと味わい深く
いい顔をしてるんですよね
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特に
少年オプーのどこまでも澄んだ
一途な眼差しが
ひときわ印象的です
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出稼ぎに行ったきり
しばらく帰ってこない夫を
ひたすら待ちわびながらも
なけなしの家財道具を切り売りして食いつなぎ
どうにか一家を支える妻
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そんな状況の中で
子供たちは毎日をサバイブします
特筆すべき
ススキに覆われた広大な田園風景の中を
二人が歩いていくシーン
遠くから機関車が
モクモクと煙を上げながら駆け抜けていく
その姿を間近で見ようと
線路の近くまで走っていく二人
たったそれだけのシーンにもかかわらず
いやあ
この溢れる詩情
素朴な味わいの持つ美しさに
あらためて気づかされ
その
原初の風景のような力強さに
思わず目を開かされます
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さらに
大きな蓮の池のシーン
躍動的な民族音楽に乗って
川面で戯れるアメンボやトンボたち
しかしやがて空がどんよりとした雲に覆われ
にわかに蓮の葉が風でざわめき立ち
やがて一帯が大雨に見舞われます
と
そんな中でドゥルガは
苦しい生活を強いられている
日常のストレスからの解放感の表れでしょうか
ずぶ濡れになりながらも
嬉々として雨に打たれ
気持ちよさそうに長い髪を洗います
う〜ん
わかるなぁ
この感じ
が、しかし
ドゥルガはこのスコールのせいで
肺炎をこじらせてしまい
やがて高熱で亡くなってしまいます
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映画は
出稼ぎから帰った父が
妻の慟哭から娘の死を知って愕然とし
そうして一家3人
荷車に乗って
先祖代々住んできた土地を離れ
都会へと出て行くところで終わりを告げます
いやあ
つくづく
珠玉の名シーンの連続で
なんとまあ
豊穣な世界観でしょうか
お
おばあちゃんを演出中のレイ監督
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というわけで
本作『大地のうた』は
インド映画の凄さを
初めて世界に知らしめた傑作です
と
ちなみに本作に引き続き
オプーの成長を軸にした物語が
第2、第3作まで製作されていまして
これをもって
「オプー3部作」と呼ばれています
こちらの2本も必見です
◎『大河のうた』(1956)
◎『大樹のうた』(1959)
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