映画『大地のうた』

ここんとこ

すっかりインドづいていまして

先日久々に

インド映画の至宝を再鑑賞

1955年製作の

『大地のうた』

↓↓↓

blog_import_64430f287c6d3.jpg

監督はインドを代表する巨匠

サタジット・レイ(19211992)

↓↓↓

blog_import_64430f28db97e.jpg

彼の記念すべき長編第1作にあたります

何を今さらって

いやあ

あらためて

なんて素晴らしい映画でしょうか

1920年代のインド、ベンガル地方

とある小村のあばら屋で暮ら

父と母、娘と息子の家族4人の

慎ましい生活模様

↓↓↓

blog_import_64430f2991b4c.jpg

映画は

末っ子の男の子、オプーの視点で

生活苦にあえぎながらも

たくましく健気に生きていく様を

自然光を取り込んだリアルな映像で

克明に描写していきます

もう

ほぼドキュメンタリーですね

↓↓↓

blog_import_64430f29e66ad.jpg

なかば原始的な環境の中で

文字通り自然と共生しながら

営々と積み重ねていく暮らしぶり

貧しいけど

しかし

なんとも豊かで

そして

何より美しい

まさに清貧の極み

映し出されたモノクロの映像は

自然光に照らされて

画面の端々に

まるで神が宿っているかのような

ある種の聖性を漂わせています

↓↓↓

blog_import_64430f2a407e7.jpg

つくづく

異文化に触れる喜び

時代も価値観も何もかも違うゆえか

一目見たかぎりでは

何が描かれているのか

にわかに判別できなかったりで

まあ全編

新鮮な驚きに満ち満ちています

↓↓↓

blog_import_64430f2bad532.jpg

それにしても

途中、貧しいオプーの家に

転がり込むように住みつく

親戚のおばあちゃんはじめ

出てくる人たちが

みんな生き生きと味わい深く

いい顔をしてるんですよね

↓↓↓

blog_import_64430f2d1c7a9.jpg

特に

少年オプーのどこまでも澄んだ

一途な眼差しが

ひときわ印象的です

↓↓↓

blog_import_64430f2e7abf3.jpg

出稼ぎに行ったきり

しばらく帰ってこない夫を

ひたすら待ちわびながらも

なけなしの家財道具を切り売りして食いつなぎ

どうにか一家を支える妻

↓↓↓

blog_import_64430f2fcd119.jpg

そんな状況の中で

子供たちは毎日をサバイブします

特筆すべき

ススキに覆われた広大な田園風景の中を

二人が歩いていくシーン

遠くから機関車が

モクモクと煙を上げながら駆け抜けていく

その姿を間近で見ようと

線路の近くまで走っていく二人

たったそれだけのシーンにもかかわらず

いやあ

この溢れる詩情

素朴な味わいの持つ美しさに

あらためて気づかされ

その

原初の風景のような力強さに

思わず目を開かされます

↓↓↓

blog_import_64430f3183d68.jpg

さらに

大きな蓮の池のシーン

躍動的な民族音楽に乗って

川面で戯れるアメンボやトンボたち

しかしやがて空がどんよりとした雲に覆われ

にわかに蓮の葉が風でざわめき立ち

やがて一帯が大雨に見舞われます

そんな中でドゥルガは

苦しい生活を強いられている

日常のストレスからの解放感の表れでしょうか

ずぶ濡れになりながらも

嬉々として雨に打たれ

気持ちよさそうに長い髪を洗います

う〜ん

わかるなぁ

この感じ

が、しかし

ドゥルガはこのスコールのせいで

肺炎をこじらせてしまい

やがて高熱で亡くなってしまいます

↓↓↓

blog_import_64430f31f07ba.jpg

映画は

出稼ぎから帰った父が

妻の慟哭から娘の死を知って愕然とし

そうして一家3

荷車に乗って

先祖代々住んできた土地を離れ

都会へと出て行くところで終わりを告げます

いやあ

つくづく

珠玉の名シーンの連続で

なんとまあ

豊穣な世界観でしょうか

おばあちゃんを演出中のレイ監督

↓↓↓

blog_import_64430f33528aa.jpg

というわけで

本作『大地のうた』は

インド映画の凄さを

初めて世界に知らしめた傑作です

ちなみに本作に引き続き

オプーの成長を軸にした物語が

2、第3作まで製作されていまして

これをもって

「オプー3部作」と呼ばれています

こちらの2本も必見です

◎『大河のうた』(1956)

◎『大樹のうた』(1959)

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。