映画『ファーザー』
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2021年公開のアメリカ映画
『ファーザー』
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監督・脚本・原作は
フランス、パリ出身の作家、劇作家、脚本家として知られる
フローリアン・ゼレール(1979-)
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本作は世界30ヶ国以上で上演されている舞台の映画化で
本舞台のオリジナル戯曲の作者がゼレールで
映画『ファーザー』は
彼の記念すべき初監督作品というわけです
主演は名優アンソニー・ホプキンス
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本作で『羊たちの沈黙』に続き
二度目のアカデミー主演男優賞を受賞しています
…
ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーには
認知症の兆候が見え始めていたが
本人に自覚はなく
娘のアンが手配するヘルパーを拒否していた
しかしアンソニーの病状は悪化の一途を辿り
記憶が失われていくだけでなく
自らが置かれた状況すら把握できなくなっていった
アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられるも
その一方で
10年来というアンの夫が自宅に居座っていて
アンソニーはその男に見覚えがない
もしや彼は財産を奪うつもりなのか⁈
募る猜疑心
日増しに混乱する頭の中…
新たなヘルパーは
もう一人の娘ルーシーに似ているが
そもそもルーシーは一体どこに行ったのか?
苛立つアンソニーは
事あるごとにアンに当たり
アンも懸命に父の面倒を見ていたが
思うようにいかず憔悴しきっていく
アンソニーは
過去の記憶と目の前の現実の境界線が
次第に曖昧になっていき
困惑と恐怖に直面し
そうして童心に帰っていく…
…
う〜ん
目の前に映し出された映像の
一体
どれが現実で
どれが妄想なのでしょうか?
何を信じればいいのでしょうか?
記憶の中の人と今いる人が入れ替わったり
同じ場面が繰り返される円環構造を有したり…
ふと
ここで展開される現実と
妄想が奇妙に入り組んだ世界が
本作の
認知症を患う主人公アンソニーの見る世界
いわば心象風景であるということに
観ていて
自ずと気づかされます
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つまりは
認知症を追体験している僕ら観る側まで
完全に混乱をきたすのです
認知症が進行するにつれて
アンソニーの過去の記憶や妄想が
目の前の現実と折り重なり
ますます不条理で判別不能な世界が
映し出されていくのです
また場面によって
部屋の色調や家具の配置を変えて
アンソニーの混乱した心の内を
絶えず変化する過程を
心理的に表現したりして
認知症を患った人が見ている世界を
映像化するという
この
いまだかつて観たことのない独創的な試みには
いやはや
びっくりさせられましたね
映画は
ほぼ部屋の中で展開される室内劇ですが
作者のゼレールが
舞台劇ではなし得ない
映画によるアイデアを思いついたのでしょう
よくよく
ありそうでなかったですね
観ていて終始唸りっぱなしでした
本作はまさに
映画表現の新たな視点を獲得しているのです
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何より面白いのは
本作の主人公であるアンソニーが
名前も誕生日も
演じるアンソニー・ホプキンスと
同じ設定にしてあるという点
画面に映し出された老人は
すなわち
ホプキンス本人そのものじゃないかと見紛うほど
役と同化している
といいますか
映画はあえて
そういう演出意図で撮っているのです
なので
へぇ
アンソニー・ホプキンスて
本当に認知を患ってるんだぁ
って
観ていて
つい錯覚してしまうのです
よくよく考えてみると
そんなはずはないのですがね
これだけ緻密で大胆な演技をしているんですから
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とまあ
とにかく本作は
アンソニー・ホプキンスにこれ尽きますね
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もう何も言うことがありません
圧巻の名演です
観ていて
激しく心揺さぶられ
最後に自然と涙が込み上げてきます
さらに娘役のオリヴィア・コールマンが素晴らしく
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ホプキンスと絶妙なコンビネーションを発揮し
この名優2人による演技のかけ合いが
本作を類い稀な領域へと押し上げています
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そして
あらためて
優れた演技は
卓越した演出によってもたらされるもの
これが監督デビューとなったゼレールの
新人離れした巧みな演出には
う〜ん
ちょっと感心してしまいましたね
というわけで
『ファーザー』
いやあ
文句なしにすごい映画
正直、感動してしまいましたね
これは必見です
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