映画『ラ・ポワント・クールト』
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1955年製作のフランス映画
『ラ・ポワント・クールト』
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“ヌーヴェルヴァーグの祖母”と称される
アニエス・ヴァルダ(1928-2019)の
記念すべき長編デビュー作です
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南仏の小さな海辺の町、ポワント・クールト
ここに生きる人々の貧しい生活模様
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そして
ここが生まれ故郷で
12年ぶりにこの地に帰ってきた夫と
程なくして
彼を追ってパリからやってきた妻
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主人公の男を演じるのは
あの『ニュー・シネマ・パラダイス』などの名優
フィリップ・ノワレ
なんとまあ若いこと
…
村をあてどなく散策しながら交わされる
男と女の観念的な対話
よくよく
2人の関係は
どうやら
ほぼ終わっています
しかし末期に至っているそんな状況を
2人とも
感覚的にはわかっていても
理屈では認識していない
といいますか
悪あがきをしている
といいますか
恋愛ゲームに陥っている
といいますか
とにかく
素朴な海辺を背景に
トボトボと歩きながら
断続的に
不毛な問答を繰り返す2人
時折挿入される
前衛的なショット
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思わずピカソの絵を彷彿させます
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「愛が老いるのがこわい…」
2人の愛情が枯渇し失われていく過程が
独特の構図の中で
淡々と描かれていきます
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う〜ん
このふわふわと
およそ地に足がついていない
虚無的でさえある2人の関係性と
漁村に生きる人々の
どこまでもリアルな現実
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漁師たちが衛生局の検査官の目を盗んで
禁漁区へ繰り出したり
小さな男の子が突然の病で亡くなって
皆が悲しんだり
などの日常風景
との
この少なからぬギャップ
あるいはそれらが
時折ないまぜになったりします
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また静かな描写に終始するかと思いきや
終盤
水上槍試合の催しを
これまた
ドキュメンタリーそのもののように
群衆の歓声と共に
生き生きと映し出したりします
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ふと
若きヴァルダの野心的な試み
それは
地元の人々のリアルな生活風景と
倦怠期を迎えた1組の夫婦を
交互に映し出すことで
このポワント・クールトという
なんでもない荒れ果てた漁村を
奇妙で重奏的な空間へと変貌させようとしたこと
前者は
ほぼドキュメンタリーで
後者の夫婦は
およそリアルでない風情を終始たたえていて
ヴァルダの特異な視点で捉えた
この鮮やかな対比が
不思議な世界観を宿し
事実
本作を革新的たらしめているのですが
う〜ん
しかし監督の意図が
イマイチわかりづらい印象も多々見受けられて
やはりそこはデビュー作だけあって
まだまだ
ヴァルダの荒削りな一面は否めないかな
と思うところですね
そうはいいましても
あらためて
ゴダールの『勝手にしやがれ』より5年
トリュフォーの『大人は判ってくれない』より4年
…も早く製作された本作こそが
「ヌーヴェルヴァーグの最初の映画」
と呼ばれていて
いやあ
本作が映画史にもたらした意義は
ことのほか大きいものがありますね
というわけで
『ラ・ポワント・クールト』
若きヴァルダの
瑞々しくもユニークな感性に彩られた佳作
是非ともおススメです
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