映画『地下鉄のザジ』

1960年製作のフランス映画

『地下鉄のザジ』

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監督はフランスが誇る名匠

ルイ・マル(1932-1995)

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ルイ・マルは

ゴダールやトリュフォーらと同世代ですが

彼らよりひと足早く映画界に登場

いわば先輩格に当たります

1958年の『死刑台のエレベーター』で鮮烈なデビューを果たし

フランス・ヌーヴェルヴァーグの先駆者とも呼ばれながら

しかしその後、世界を席巻したこの新しい潮流の

いわば二大派閥

カイエ派とセーヌ左岸派のいずれの枠組みにも与せず

あくまで独自のスタンスを貫き

シャープな映像感覚による傑作を連発します

特に初期の頃のルイ・マルは

有り余る才能を持て余し気味で

演出が的確で大胆で

いちいち冴え渡っていましたね

とにかくいろんなジャンルのものを

全く異なるスタイルで創造してしまう

まあ才人ですね

そんなわけでして

前置きが長くなりましたが

彼の輝かしいフィルモグラフィーの中で

ひときわ異彩を放つ一本が本作

『地下鉄のザジ』です

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母親とパリにやって来て

叔父に預けられた少女ザジ

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楽しみにしていた地下鉄は

あいにくストで閉鎖中

しかたなくパリの街に繰り出し

おかしな大人たちとともに次々と珍騒動を巻き起こす

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映画は

エッフェル塔や

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蚤の市など

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活気に溢れたパリの街中を

ザジと一緒に駆け巡りながら

ある種、観光気分を味わうことができます

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この映画

実際は

そんな生やさしい代物ではありません

もうハチャメチャ

やりたい放題

ストーリーなんてあってないようなもの

低速撮影による早回しや

手持ちカメラによる臨場感溢れる映像などが多用された

ナンセンスな世界が

縦横無尽に展開されます

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う〜ん

これをスラップスティック・コメディと名づけるには

あまりに破壊的

映画は

ザジとともにひたすら暴走の一途を辿り

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ふと

しかし

本作が製作されたのは1960

軽く半世紀が過ぎているくらい

古い映画なのですが

よくよく

なんとまあ

過激でパワフルなんでしょうか

CGなど

そういったものに頼らない分

生身の人間による

いわばマンパワーが爆発し

強烈なまでの人々の熱気が

豊かな色彩も手伝って

所狭しと画面を横溢

そうした

身体表現としての生の味が

50年代末のパリの時代性とともに

アナーキーに炸裂する

この醍醐味

面白さ

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そして

あらためて

放射状に拡がるパリの街並み

石畳、石造りの建物の風情

おてんばの少女ザジを象徴とする

ポップでキュートで

レトロモダンな味わい

なんてったって

カトリーヌ・ドモンジョ演じるザジが可愛いですね

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また叔父役のフィリップ・ノワレも安定です

とまあ

そんなわけで

破壊力抜群のドタバタ喜劇

『地下鉄のザジ』

マルの才気と確かなセンスが光る

異色の一作です

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