『マティス展』
先日、合間をぬって
待望の鑑賞が叶いました
ただいま上野の東京都美術館にて開催中の
『マティス展』
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公式サイトは→こちら
いやあ
感激でした
フランスが生んだ
20世紀を代表する巨匠
アンリ・マティス(1869–1954)
色彩を極めたフォーヴィスム(=野獣派)の創始から始まり
形状の簡素化を突き詰めた先の
いわゆるモダンアートへの扉を開き
また奥行きを排した平面的な空間と
装飾パターンの駆使
縁取りを好む嗜好
切り紙絵などデザイン画の自由奔放なイメージの羅列
など
今更ながら
マティスが絵画史に遺した功績は
絶大なものがありますね
ということで
本展は
世界最大規模の
マティス・コレクションを所蔵する
ポンピドゥー・センターの全面的な協力を得て
日本では約20年ぶりの開催となる
大規模な回顧展です
絵画のほか、彫刻、ドローイング、版画、切り紙絵ほか
今回約150点を展示
いやあ
これは何はさておいても
観に行かないわけにはいきませんね
ということで
主要どころを
ザザッとご紹介
◎《豪奢、静寂、逸樂》(1904)
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今回、初来日を果たした初期の傑作です
点描を特徴とする新印象派の
ポール・シニャックに招かれ
その影響下で
光に満ちた理想郷ともいうべき風景画を創造
本作は新印象主義の規則
(…固有色の放棄、純色、筆触分割、視覚混合)
に従ってはいるものの
徹底されてはおらず
当時、自身が課題としていた
色彩と線描がぶつかり合ってしまう状況は
この時点では未解決のまま
そんな中で
彼はこの直後に
荒々しい筆触による
「フォーヴィスム(=野獣派)」
と呼ばれる様式を生み出します
◎《豪奢l》(1907)
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本作のあたりで
マティスは「野獣派」と呼ばれ
賞賛と同時に多くの批判を浴びることになります
多分にアフリカ彫刻の影響が濃厚な
単純で幾何学的な人物造形
大きく描かれた女性の構図
平面的な空間構成
風景の単純化
落ち着いた色調
う〜ん
そもそも
一体何を描いているのか
何を表しているのか
よくわからないまでも
西洋絵画の伝統を破壊するような
いまだかつて観たことのない
異質のインパクトを有しています
◎《金魚鉢のある室内》(1914)
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おなじみの窓のモティーフ
窓が開放しアトリエ外界に向けて開放
部屋の中の狭い空間だけではない
広がりを感じさせます
部屋の内と外という
二つの領域が青で統一され
全体を成している
◎《コリウールのフランス窓》(1914)
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西洋において、窓は視覚の隠喩
黒く塗りつぶされた窓の外(中?)
時代背景から
戦争の暗い影を表現しているようです
と
ここから写真OK
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まあ混んでましたね
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◎《赤いキュロットのオダリスク》(1921)
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イスラムの君主に仕えるオダリスクを描いた本作
異国情緒に富んだ背景や衣装の柄が
ひときわ目を惹き
その鮮やかな色彩が
単なる装飾以上の意味合いを
観る者に抱かせます
◎《緑色の食器戸棚と静物》(1928)
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こちらは対照的に簡素で
ちょっとセザンヌっぽいですね
年表です
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◎《夢》(1935)
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安心しきって眠りにつく女性の様子を
大胆な構図と単純化した形態で表現
画家いわく
「モデルがどのようなポーズをとるかを決めるのは画家ではなく、自分はただ奴隷のように従うだけだ。」
◎《座るバラ色の裸婦》(1935-36)
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より消去や単純化を推し進め
幾何学形態を極めた線描
◎《貝殻のヴィーナス》(1930)
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ブロンズの女性像
ミニマルで象徴的
それでいて官能的なフォルム
思わず目を奪われましたね
◎《マグノリアのある静物》(1941)
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星形のマグノリアの周りを
浮遊しているように取り巻く複数の事物たち
不思議な空間構成と
赤を基調とした鮮烈な色彩
◎《主題と変奏 E10》(1941)
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その迷いのない線
デッサンも面白いですね
◎《立っているヌード》(1947)
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女性像は曖昧で個性もなく
周囲の装飾パターンがより際立つ印象
◎《黄色と青の室内》(1946)
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奥行きを排した単純化された背景
本来隔たった位置にあるにもかかわらず
繋がっている妙
縁取られた色彩の中の新たな空間の創造
そしてひときわ多い人だかり
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◎《赤の大きな室内》(1948)
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絵画、テーブル、敷物等が
空間内でコントラストを作り出しています
光と色彩をめぐる世界が凝縮
白黒デッサンがあたかも窓の如く
全体を支配する赤色の中に
異なる空間を切り取ります
と
こちらは芸術文学雑誌の表紙
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◎《イカロス(版画シリーズ<ジャズ) より)》(1947)
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マティスが体調を崩し
絵筆を持てなかった時に
数々の切り紙絵を残しています
まさに即興のジャズ演奏の如き
自由で躍動的でリズム感に溢れた作品群
そして
マティス晩年の代表作
南フランスの丘の町、ヴァンスにある
ロザリオ礼拝堂
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本礼拝堂の設計、装飾、什器の選定をはじめ
細部に至る全てをマティスが担当
マティスが生涯にわたり探求してきた技法を駆使して創出された
光と色彩に溢れた空間で
マティスの集大成となりました
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マティス自身、以下のように語っています
「私はこの礼拝堂を
ひたすら自分を徹底的に表現しよう
という気持ちでつくりました。
ここで私は
形と色から成る一個の全体性として
自分を表現する機会を得たのです。
この仕事は私にとって
ひとつの教えでした。」
いやあ
一度、実際に行ってみたいですね
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◎ファザード円形装飾《聖母子》1951
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礼拝堂の正面に飾られ
優しく包み込むようなシルエットが素敵ですね
とまあ
そんなこんな
盛りだくさんで
いやあ
最高です
マティスの画業の全貌を知る
これはまたとない企画
本展は8月20日まで開催中です
この機会に是非〜
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