映画『ヴァルハラ・ライジング』

観終わった頃には

途方に暮れて

迷子になった僕がいましたね

う〜ん

観る者を

置いてきぼりにすることを

何らいとわない

ある種の潔さが

多分に感じられて

いやいや

普通の映画に飽き足らない僕にとって

むしろ嫌いじゃないなぁ

こういうの

未知なる映像と世界観を有した

稀に見る異色作です

2009年製作

デンマーク、イギリス合作の

『ヴァルハラ・ライジング』

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監督はデンマークの異才

ニコラス・ウィンディング・レフン(1970-)

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冒頭の文

「始まりには、人と自然のみが存在した」

「やがて十字架を背負った者たちが現れ

異教徒を地の果てへと追放した」

映画は

キリスト教の勢力が

北欧へと広がっていき

土着民を異教徒として迫害していった

中世の時代を舞台に

隻眼の奴隷戦士が辿る

スピリチュアルな冒険の旅を

重厚に描いています

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風の吹き荒ぶ辺境の大地

異教徒たちの娯楽として

殺し合いをさせられている奴隷のひとり

通称ワンアイは

驚異的な戦闘能力で勝ち続けている

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ある日、囚われの身ながら

首領を殺して自由となり

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同じ奴隷の少年と共に旅を続ける

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途中、キリスト教の一味と遭遇

彼らに同行し

聖地エルサレムを目指す

やがて深い霧に包まれた航海の果てに

一行は見知らぬ大陸へと辿り着いたのだが

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本作は

憤怒/沈黙の戦士/神の民/聖地/地獄/犠牲

と題した全6章に分かれていて

北欧神話を背景にしている

とのことですが

セリフが極端に少なく

状況場面の説明がないため

一見

何が描かれているのか

よくわからない

まあ

そもそも

通常見慣れたハリウッド映画とは

明らかに異質な映像なんですよね

さらには

ゆっくりと緩慢なリズム

リアルで生々しい質感

ただならぬ緊張感

曇天の空に覆われた

不穏で野蛮で

原初のイメージに覆われた神話的なムード

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そうした

全編に漂う異様な空気感は

多分に

隻眼の戦士ワンアイの

遠くを見つめるような冷徹な眼光

一言も口をきかない

不気味で超然とした佇まいに

負うところ大ですがね

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あらためて

マッツ・ミケルセンが

超人的な戦闘能力を誇る戦士を

見事に力演しています

つくづく

この人は色気があって

うちに狂気を秘めていて

いいですね

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ワンアイは

少し先の未来を予知できたりして

どこか神秘的な力を有しているのですが

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旅を進めていく中で

次第に覚醒されていき

やがて己に課せられた

ある種の役割に

目覚めるのです

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つまりは

自らが先住民たちの犠牲となることで

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少年が

海の向こうの故郷ヴァルハラを目指す

という道筋を示すに至るのです

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多分に北欧神話が

背景にあるのであろう

宗教的な命題がここにあります

いやあ

なんとまあ

深淵で雄大なラストでしょうか

というわけで

『ヴァルハラ・ライジング』

圧倒的な映像体験と

予想のつかない展開

その未知なる世界観に

う〜ん

打ちのめされること必至

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つくづく

観客に迎合することなく

内なる思いや信念に

突き動かされて()

ひたすら突っ走った感のある

レフン監督の心意気に

拍手を送りたいと思います

でもちょっと意味不明すぎて

あまり

オススメはできないかな

まあ個人的には

類稀な強度を有した

これまぎれもない傑作ですがね…

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