映画『ショート・カッツ』

1993年製作のアメリカ映画
『ショート・カッツ』
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監督は巨匠
ロバート・アルトマン(1925-2006)
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いやあ
群像劇を撮らせたら
まず彼の右に出る者はいませんね
本作は
レイモンド・カーヴァーの
9つの短編と1篇の詩を基に
ロスに暮らす9組のカップルをはじめ
総勢22人の登場人物たちが
複雑に絡み合い
いくつものストーリーが
同時並行的に進行する
3時間超のユニークな群像劇です
…
冒頭
害虫駆除のために農薬を散布するヘリが
ロスの上空を飛び回る
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果たして
ばら撒かれた農薬が
原因かどうかわからないが
子どもの交通事故に端を発し
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事態は
思わぬ負の連鎖を招き
周囲へと拡散
やがて
人々の平穏な日常が
徐々に瓦解していき
ひとりひとりの
ありのままの姿
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赤裸々な本音が
にわかに露呈する
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画面に漂う一縷の不安
かすかな
しかし拭えない違和感
それぞれの夫婦は
独立しているようで
各々が何気なく関係し合っている
鳥の目、虫の目で捉えた
人々の生活の内実
本質的ともいえる
往々にして俗な側面
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映画は
さながら神の視点で
昆虫を観察するかのように
人間界の人々の生態を
つぶさに追い
彼らの日常と
うごめく感情のひだを
刻々と映し出します
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つくづく
問題を抱えていない夫婦などいない
平穏な日常のようで
その実
正気とは思えない沙汰の数々
う〜ん
病んでいる…
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煮えたぎる欲求不満
小さな火種から
やがて
あからさまな本音が漏れ聞こえ
その剥き出しの姿が露わになり
ふとした瞬間に
思わず暴発する
そして
そんな人間たちの愚かさを
嘲笑うかの如き
すべてをリセットする
突然の大地震
日常と隣り合わせの死…
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虚構
見栄
体裁
入り乱れる
虚々実々の人間模様
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そうした上辺を取り繕う
現代社会の縮図を
そんな世界が
ふとしたきっかけで
脆くも崩れ去る様を
映画は
多面体のような構造
複合的な物語構成を有しながら
象徴的に映し出します
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しっかし
本作は今観たら
なおさら
まあすごい豪華キャストでして
みんな嬉々として
ゲスで破廉恥な姿を晒してみせます
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シニカルで冷徹な視点
それでいて遊び心に富んだ
アルトマンの演出術にかかって
誰もが
絶妙な演技を披露するのですが
そんな中でも
さすが名優ジャック・レモン
出色ですね
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あと
フラストレーションの塊のような
クリス・ペンが
もうリアルで最高です
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お
個人的にお気に入りの
リリ・テイラー
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とまあ
そんなこんな
このスケールとディテール
なんという
独創的な手法でしょうか
というわけで
『ショート・カッツ』
巨匠アルトマンが到達した
まさに円熟の境地
その卓越した手腕に脱帽するほかない
いやあ
本作は
まこと驚くべき傑作です
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