映画『ルートヴィヒ』

1972年製作
イタリア・西ドイツ・フランス合作
『ルートヴィヒ』
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監督はイタリアの巨匠
ルキノ・ヴィスコンティ(1906-1976)
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本作は
『地獄に堕ちた勇者ども』(1969)
『ベニスに死す』(1971)に次ぐ
「ドイツ3部作」の最終章として
ヴィスコンティの円熟期を代表する一本で
ヘルムート・バーガーを主演にして
“狂王”の異名を持つ
実在したバイエルン国王
ルートヴィヒ2世(1845-1886)の
美と芸術を追い求めた人生を
壮大なスケールで描いた歴史大作です
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と
ヴィスコンティは
撮影終了直後に脳卒中で倒れ
左半身麻痺などの重い後遺症が残ります
その後、過酷なリハビリの末
同作を完成させますが
左半身の後遺症は生涯残り
以後、車椅子での生活を余儀なくされます
本作は
そんな彼の執念の力作で
いくつかのバージョンのうち
監督の意向に最も近いと言われる
237分(!)の復元完全版が
一番のオススメですね
…
1864年
父の後を継いで若干18歳で
バイエルン国王に即位したルートヴィヒ
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彼は
作曲家リヒャルト・ワーグナーを熱烈に支援し
「芸術こそ国を豊かにする」
という信念にとらわれ
政治や軍事よりも
音楽や芸術を愛する理想主義者だった
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しかし当時のヨーロッパは
戦争と権力闘争の時代
現実政治との溝は深まり
宮廷や政府、周囲の人々との対立が
日を追うごとに激しくなっていく
さらに孤独や理想への執着
従姉であるオーストリア皇后への叶わぬ想いなどが重なり
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ますます現実逃避をするようになっていく
そして壮麗な城を築きながら
最後は悲劇的な結末を迎えるに至る…
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と
ルートヴィヒは
“芸術によって人は救われる”
という信念を頑なに抱きますが
国家を治めるには
現実的な政治判断が求められました
本作は
政治や軍事面では皆目、無力な国王の姿を
余すことなく捉えます
また王という立場ゆえに
本音を語れる相手がおらず
次第に理解者を失っていき
孤独感が増していく様子が丁寧に描かれます
何より
本作最大の見どころが
ルートヴィヒ王の
芸術への常軌を逸した献身ぶりです
ワーグナーの音楽が奏でる
悲劇的な幻想世界への
賛辞と惜しみない支援
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そして
絢爛豪華な建造物の建設です
特には
ノイシュヴァンシュタイン城
リンダーホーフ城のヴィーナス洞窟など
まこと息をのむ美しさです
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って
狂気の沙汰と批判された
これら建造物は
現在では世界的な文化遺産となっていますね
しっかし
豪華な装飾が施された宮殿や
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バイエルンの湖や森など
本作は
ワンカット、ワンカットが
まるで絵画のような映像美を創出
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まさにヴィスコンティの面目躍如
といったところですが
ふぅ
なんと言いますか
ストーリーのテンポの遅さ
ある種の冗長さも手伝って
観ていて
正直かなりくどい…
映画は
これでもかこれでもかと
執拗なまでの眼差しで
この
“芸術に人生を捧げた人間”の
純粋性と狂気
そして精神が崩壊する様を凝視し続けます
ふぅ
これはたぶんに
ヴィスコンティ自身の
人生と信条が
色濃く投影された表れでしょうか
また
プライベートで恋人関係にあったとされる
主演のヘルムート・バーガーへの
ヴィスコンティの
深い思い入れも如実に感じられますね
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つくづく
ルートヴィヒ役のバーガーは
本作で自身のキャリア最高の演技を披露
気高くも繊細で
妖気と退廃に満ちた王の
“滅びの美学”を
一身に体現しています
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また
オーストリア皇后エリザベート役の
ロミー・シュナイダーも
気品に溢れた美しさを存分に見せつけて
出色の存在感です
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お
こちらは
ワーグナーの妻コジマ役の
シルヴァーナ・マンガーノ
最高です
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それにしても
衣装や調度品、壮麗な建造物など
こだわり抜いたであろう貴族社会の
この贅を尽くしたコッテリ感は
観ていて食傷気味になりますが
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よくよく
ヴィスコンティのただならぬ執念
創作に対する飽くなき情熱のこれ産物で
いわば
ロマンティシズムとリアリズムの両極が
フィルムに深く刻印されていて
う〜ん
なんて素晴らしいのでしょうか
もう圧巻の映像世界です
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というわけで
『ルートヴィヒ』
ヴィスコンティ芸術の集大成ともいえる
耽美に彩られた
骨太の人間ドラマの傑作
いやあ
今更ながら
必見です
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おまけ
ヴィスコンティの作品について
以前書いた記事です
◎『ベニスに死す』→こちら
◎『山猫』→こちら
◎『家族の肖像』→こちら
◎『イタリア映画の巨人』→こちら
◎『ヴィスコンティ芸術の神髄』→こちら










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