映画『舟を編む』
先日たまたまTVで放映していたのを観ました
2013年製作
三浦しをん原作
石井裕也監督の日本映画
『舟を編む』
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新しい辞書『大渡海』を編纂刊行しようと奮闘する
編集部員たちの姿を描いた物語で
映画は
松田龍平演じる主人公を軸に
そこに携わるメンバーたちの人生模様を垣間見つつ
辞書作りという
気の遠くなるような作業過程と
何より部員たちが
言葉の海に呑み込まれながらも
言葉の持つ魔力、美しさに魅せられ
次第に没頭していく様を
丹念に映し出していきます
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タイトルの「舟を編む」とは
「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」
という意味だそうです
映画の時代背景は1995年
まだネットも携帯電話も普及していない時代
ふと観ていて
この1995年の空気感に
えも言われぬ懐かしさを覚えましたね
約20年前
僕は今の仕事をする前は
新宿中井の6畳一間のアパートで
一人暮らしをしながら
ドキュメンタリーの貧乏プロダクションに勤めていまして
う~ん
本編に映し出される情景が
なんともその頃を彷彿させるんですよね
さらには辞書作りという
地道な積み重ねの作業が
当時僕が携わっていたドキュメンタリーの製作過程と
どことなくダブりまして…
膨大な資料とフィルムに囲まれた
雑然とした事務所の中で
黙々と作業に没頭していた
20代の頃の自分自身の姿が
重ね合わされてならなかったですね
おっと失敬
つい感傷に浸ってしまいました
いやあ
それにしましても
辞書作りという
まさにアナログの極致
今じゃウィキペディアなどの登場で
こうした作業工程も
すでに過去の産物となっているのかもしれませんが
メンバーたちがこの膨大な言葉たちと格闘し
それを手作業で丹念に紡いでいく姿には
言え知れぬ興奮
静かな感動を覚えずにはいられません
丁寧な脚本と抑制された演出が
知性を感じさせてとってもいい
本作に底流する世界観、あり方は
デジタル全盛の現代社会に対する
慎ましい警鐘とも捉えることができましょうか
全然期待してなかった分
思いのほか面白くてビックリでしたね
ところで
話は変わりますが
主演の松田龍平君
この映画の彼は
ある意味、嬉しい発見でしたね
何がって
ハイ
本作の龍平君の
陰にこもったオタク気質なキャラクターが
そうです
お父さん(=優作)を連想させるんです
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数々の伝説に彩られた狂気の結晶
『野獣死すべし』(1980)
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意外や意外
この『野獣死すべし』の優作と
本作の龍平の
その猫背な立ち居振る舞いの
よう似てること
やはり血は争えないなぁ
初めて似てると思いましたね
しっかしあらためて
優作は華もあって影もあって
まこと稀有な俳優でしたね
でもまあ彼はどちらかというと
本質は陰の人なんでしょうね
息子がいい形で受け継いでいるようです
観ていて思わず嬉しくなっちゃった次第です
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