映画『ロスト・ハイウェイ』
1997年製作のアメリカ映画
『ロスト・ハイウェイ』
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監督は鬼才
デヴィッド・リンチ(1946-)
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「ディック・ロラントは死んだ」
という謎の言葉とともに自宅の玄関に届けられた一本のビデオテープ
そこに映っていたのは自宅の玄関先
以来何度も送られてくるビデオテープだが
やがてテープの映像は
玄関先から家へと侵入し、寝室までが映し出されていく
そしてビデオに映っていたのは殺された妻の裸体と
血まみれ姿の自分自身…
さらに
物語は唐突に
前半と後半で話が全く別次元の世界へとトリップ
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主人公自身も若い男へと入れ替わってしまいます
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ええっ⁈
一体どういうこと?
と、リンチ監督はインタビューで
本作の主人公フレッドの精神状態を
“サイコジェニック・フーガ”(=心因性遁走)と表現しています
これは何らかの深刻な心理的重圧を受けた人物が
そこから逃れるために無意識のうちに記憶を喪失したり
自己同一性を失う
つまりは別の人格を形成する
という症状を呈するに至る精神疾患の一つなんだそうです
ふ〜ん
まあシンプルに捉えれば
殺人を犯した男がその現実に耐えきれず
別人格となって自己逃避する
といった話になるのでしょうが
いやいやいや
この映画
そう単純ではありません
謎の白塗り男
奴はいったい誰だ?
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とにかく意味不明な場面が多く
持てる知識を総動員し
感性の毛穴を全開にして臨むも
その矢先に
度々映し出される
パトリシア・アークエットのなまめかしい肢体に邪魔され
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頭を掻きむしられ
いったんリセットされ
また一からやり直しとなり…
それを繰り返すうちに
いつの間にか映画は終わってしまいます
論理的な一貫性などフル無視
映画はただただ暴走し続け
ビザール・テイストに満ち満ちた
その悪夢のイメージが連鎖し
観る者の脳内を散々荒らしまくった挙句
もぬけの殻となったところで
ハイ終了
って
このモヤモヤ感、得体の知れない妄想を引きづったまま…
しかし
この得も言われぬ恍惚感は一体なんでしょうか
映画は
観る者を官能と陶酔の世界へと誘い
そして人はいつしか
ダークサイドの深淵に堕ちていく…
う〜ん
つくづく真に野心的な映画とは
観る者の活力を根こそぎ奪ってしまうもの
僕はこの映画の持つ魔力にすっかり取り憑かれ
観終わってしばらくの間
無気力状態と相成ってしまった次第
ハハハ
ちなみに本作の二重構造を
さらに洗練かつ高度なレベルで推し進めた映画が
リンチの最高傑作とうたわれる
『マルホランド・ドライブ』(2001)で
『ロスト・ハイウェイ』はまさにその萌芽ともいえるパラレル・ワールド
いやあ
理解不能ながら
ある意味
底知れぬ美しさと魅惑に溢れた映画
というわけで
疾走する悪夢
まさにリンチ・ワールド炸裂の1本です
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