映画『回路』

そこに

確かに

何かある

目には見えないが

存在を認知できる

ただならぬ

不穏な気が充満して

空間が歪んでいるかのよう

かすかな違和感

増幅する不安

得体の知れない恐怖

う〜ん

何しろ薄気味悪くて

嫌な感覚です

↓↓↓

blog_import_64430ad9b22e1.jpg

2001年公開の日本映画

『回路』

↓↓↓

blog_import_64430adb38241.jpg

監督、脚本は奇才、黒沢清(1955-)

↓↓↓

IMG_9725.jpeg

つくづく

映画は

言葉で言い表せないものを

映像で表現するところに

その醍醐味があるというもの

言い換えれば

いかにして

目に見えないものを映像の中に収めうるか

ある意味、映画は

この命題と向き合ってきた歴史とも言えましょうか

ということで

黒沢清が自作を通して追求してきたテーマ

それは

幽霊を映す

という試みです

ハハハ

って

これは

かつて幽玄で神秘性に富んだ映像が世界を驚嘆させた

溝口健二の『雨月物語』(1953)

格調高いまでの恐怖演出が圧巻の

小林正樹の『怪談』(1964)

などなどから

現代のジャパニーズ・ホラーへと連綿と続く

まあ

日本のお家芸のようなものですね

平凡なOLのミチ(麻生久美子)

ある日突然

同僚の自殺や勤め先の社長の失踪など

身の回りの人が

次々といなくなる事態に見舞われる

↓↓↓

blog_import_64430adc782e0.jpg

同じ頃

大学生の亮介(加藤晴彦)の自宅のパソコンには

ネットにアクセスしていないのに

「幽霊に会いたいですか」

という奇妙なメッセージと共に

突如

不気味な映像が映し出されるようになり

そうして周囲で

不可解な出来事が相次いでいく

↓↓↓

blog_import_64430addb8cff.jpg

知らず知らずのうちに

画面フレームの隅に映り込む

暗闇の中のわずかなヒダ

奇妙で不気味なノイズ

「助けて

という

一体どこから発されてるんだか皆目わからない

重低音による電話での異質な声

そうした暗く陰湿で不吉なムードを作るのが

う〜ん

この監督は何せ上手いんですよね

(まるでムンクの絵画のような世界観…)

こうした雰囲気描写や恐怖演出の巧みさは

CGの発達と

必ずしも比例するわけじゃないですからね

まさに職人技です

↓↓↓

blog_import_64430adf00e11.jpg

本作が作られた2000年の初め頃は

インターネットが電話回線で繋がっていて

当時はまだスマホもなく

接続にもかなり手間取っていて

今よりも人々のネットリテラシーが

格段に低かった時代です

ゆえにパソコンやネットに対する

オカルト的な見方が依然、根強く

本作はそうしたネットが普及し始めていく時代背景の中で

当時の社会を覆っていた

ある種、漠然とした不安感を

ホラーという形で的確に表現したと言えましょう

↓↓↓

blog_import_64430ae0520b3.jpg

タイトルに回路とあるように

こちらとあの世をつなぐのが

このネット回線という設定になっています

ここを通して

ひたひたと浸食するあちらの世界の人

いわゆる幽霊

やがて彼らは公然と顕在化し

次第に周囲が蝕まれていく

↓↓↓

blog_import_64430ae19cc21.jpg

そして

世界が

脅かされていく

って

ここまでのスケール感になってくると

映像的にはかなり陳腐で

正直、観ていて

どんどんと

悪夢から覚めていくような

我に返るような感覚を抱いて

それはそれで

ちょっとガッカリだったりするのですが

まあでも

監督の意図はよくわかりますかね

というわけで

黒沢清のマニアックなこだわりが

随所に見られる力作

いやあ

僕はやっぱり

怖かったなぁ

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。