映画『Uボート』

久々に観ましたが

何度観てもすごい映画

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1981年、西ドイツ製作

ウォルフガング・ペーターゼン(1941-) 監督

Uボート』

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2次世界大戦下における

ドイツ軍の潜水艦Uボートの激闘と

乗組員たちに待ち受ける過酷な運命

う〜ん

さんざん語り尽くされてきたので

今更ですが

この全編を覆う異様なまでの緊迫感は

つくづく尋常ではありません

特筆すべきは

ドラマの舞台となる

潜水艦U-96

うなぎの寝床のように狭くて細長い艦内

ジメジメと鬱屈し

男たちの臭気が漂ってきそうな閉塞した空間の

そのあまりにリアルな風情です

もう観ていて息が詰まりそうになりますね

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歴戦の雄である艦長に率いられて

出港するU-96だが

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大西洋の荒れ狂う波にもまれ

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やがて海中で

敵のイギリス軍駆逐艦と遭遇し激しい攻防を展開

その際に敵の爆雷を受けてしまう

艦内が小刻みに揺れ続け

沈没するんではないかと

恐怖に慄く乗組員たち

そうしてU-96は深く潜航する

深海の闇の中に沈殿するにつれて

えも言われぬ不安感が増幅

敵の駆逐艦に悟られまいと

必死になって沈黙を守る艦内

重苦しい空気が流れる中

おもむろに

あっちこっちのボルトが水圧によって吹き飛び

艦内はたちまち騒然となる

乗組員たちは顔面蒼白

水浸しで汗にまみれ

ほとほと憔悴し

中には被害妄想にとらわれ

狂気の淵をさまよう者も出てくる

う〜ん

ヒリヒリと緊張感漂う濃密な映像

どこにも逃げ場のない

極限状態にある密閉した艦内の

なんとまあ

生々しいまでの臨場感でしょうか

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窮地を脱したものの

その後

無謀な作戦が仇となり

イギリス空軍の攻撃に遭い

再び深く深く潜航する羽目となり

やがて海底に到達

しかしつかの間の安堵もむなしく

すぐさま破損による浸水が襲い、補修に追われる乗組員たち

劣悪な環境

刻々と欠乏していく酸素

沸々とたまっていくストレス

平常心を保つことなどおよそ困難

そんな絶望的な局面で

男たちが見せる苦悶の形相

観ていてつらいですね

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海底からの決死の浮上を試みる

圧巻のクライマックス

そして

奇跡の帰還を果たし

大歓声に包まれた軍港に

唐突に訪れる

皮肉な結末

つくづく

本作から炙り出されるテーマは

イデオロギー云々の話でもなければ

はたまた

ヒューマンな反戦メッセージでもない

そうした理屈や体裁をかなぐり捨てた

戦争そのものの

無情

さらには

えも言われぬ

虚無感であり

そこに映し出されているのは

まぎれもない

生死の境に直面した男たちの

ありのままの姿です

ふと

よくよく

本作の製作当時はまだCGもない時代

アナログの極致のような潜水艦のセット内に

所狭しと動き回る役者たちを

ハンディカムで追う撮影班の苦労のほどが

これ如実にうかがえ

おそらくは狭苦しいセット内に

蒸せ返るほどの人で溢れ

ゆえに撮影現場は

エネルギーが充満し

今にも沸騰しそうなほどの熱を帯びていたのではないでしょうか

そうした

ただならぬ空気感が

映像の端々に見てとれて

いやあ

本作はまこと

異様な迫力に満ちあふれています

まさに驚嘆の一語ですね

というわけで

Uボート』

あらためて

潜水艦という閉ざされた世界に

戦争の本質を垣間見た

稀に見る力作です

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