『幸之助論』

“経営の神様”

松下幸之助の自伝です

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…が

この本はそんじょそこらの

偉人伝などではありません

戦後の日本経済を牽引してきた

稀代の名経営者の実像

生身の人間としての姿をとらえています

神経質でかんしゃく持ち、不眠症、そして愛人の存在…

日本産業史上に燦然と輝く巨星

松下幸之助ですが

その光が強く輝けば輝くほど

それと同じくらい

深くて暗い闇の部分があるのでしょうか

この人は不思議な因果をたどりました

8人兄弟の末っ子として和歌山で生を受けるも

幼くして一家が破産し貧困に打ちのめされ

やがて兄や姉たちが病によって

次々と死んでしまいます

そうして丁稚奉公から一人立ちして

やがてどんどん商才を発揮していくのですが

幸之助自身も

もともと病弱だったということもあり

度重なる病いに見舞われ

その都度、事業は中断を余儀なくされます

病いは事業が軌道に乗り始めると

いつもムクッと頭をもたげてきたようです

そして大恐慌と

極めつけは戦争による壊滅的な被害

まさに不幸のオンパレード 

しかし幸之助はその都度

そこから何度も何度も這い上がってくるのです

松下幸之助の凄いところは

困難をむしろ成長の糧にしてきた

というところにあります

幸之助は逆境のたびにそれをバネにして

どんどん強くなっていくのです

これこそが松下幸之助の真骨頂

彼の類い稀なリーダーシップの

まさに根幹をなす部分です

つくづく光と影は

等価なんだなと実感します

光が大きければ大きいほど

その分だけ影ができる

松下幸之助の経営の神様たるゆえんは

この人を襲った度重なる悲劇の総量に

比例するのかもしれません

この光と影をどれだけ自分の中で抱え込めるか

人間の器はそこで決まるんでしょうね

そういう意味では

松下幸之助にふりかかった困難の大きさは

逆説的な言い方になりますが

これはもう神がかっていますね

つくづく

幸之助を取り巻く環境や時代背景

まさに彼は戦前から戦後における激動の日本を

一身に背負った存在だったんだなと

とてつもないスケールをもたらすであろう運命を

この人は担わされたんだなと実感します

そして幸之助は身体的なハンデや度重なる悲劇

それらに起因するであろう

負の感情などのネガティブな側面を

内なる原動力に変えて

強力なエネルギーを発し続け

己の企業はどんどん巨大化し進化していきます

幸之助は晩年まで悩みを多く抱えていて

(決して神様などではないのです…)

そうして正と負のサイクルは終生続き

それゆえ年齢を重ねるごとに

ますますどんどん成長していきました

晩年は人間の本質を追究する

PHP研究所を開設し

深い思索に励み続けました

う~ん

すごいの一言です

最後に

松下幸之助が好んだ

サムエル・ウルマンの詩をご紹介します

「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方を言う。

薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな肢体ではなく、たくましい意志、豊かな想像力、燃える情熱をさす。

青春とは人生の深い泉の清新さを言う。」

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