映画『息子のまなざし』

2003年公開

ベルギー・フランス合作の

『息子のまなざし』

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監督・脚本はベルギーの名匠

ジャン=ピエール(兄、左)とリュック(弟、右)

ご存じ

ダルデンヌ兄弟

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職業訓練所で木工を教える寡黙なオリヴィエ

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ある日

かつて自分の息子を殺した犯人の少年フランシスが少年院を出所し

あろうことか

この職業訓練所に入所してくる

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動揺と憎しみの感情が渦巻く内面を悟られまいと

あくまで平静を装うオリヴィエだが

被害者の父親だとは知らず

無邪気に慕ってくるフランシスに対し

つい突き放した態度で応対してしまう

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オリヴィエの頭の中を

ぐるぐると駆け巡る複雑な感情

少年を赦すべきか

少年を赦すことができるのか

絶えず自問自答し悩み抜くオリヴィエ

いたたまれず

フランシスの後を追い

彼の家に忍び込み

ベッドに横になったりもする

少年にどう向き合えばいいのか

自分でもわからず混乱している様子が

画面の端々から伝わってきます

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そうしたわだかまり

いつまでもモヤモヤと晴れない心の内を

仕事が

少しずつ解きほぐしていきます

作業に没頭する時間の

この純度の高さ

オリヴィエの

仕事に対するどこまでも真摯でひたむきな姿勢が

つかの間

彼の乱れた心を整えてくれます

そして訓練生のひとりであるフランシスが

オリヴィエの教えを少しずつ学んでいく

この一連のプロセスを通して

二人の間に

ある種の信頼関係が芽生えたように見えます

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常に人物の肩越しに寄り添うように位置する

手持ちカメラによるリアルな肌触り

現場音のみの唐突な印象

セリフは少なく

音楽も一切使われない

映画的抑揚が皆無で

あくまでさりげなく進行していきながら

う〜ん

しかしよくよく

なんて饒舌な映画でしょうか

人物たちの激しい息遣い、苦悶の表情

その臨場感と迫真性とが相まることで

創出される真実の姿

絶えず聞こえてくる人物たちの内なる声

とりわけオリヴィエが辿る

いわば心の変遷を

観ている側は自ずと追体験させられます

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ダルデンヌ兄弟の映画は

あたかもドキュメンタリーのように

意外性を拾う

出たとこ勝負的な突発性が

持ち味のように思われがちですが

実は真逆で

周到な演出プランに基づいて

何度も何度もテイクを重ねるスタイルを基本としているんだそうです

意外ですね

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映画は終盤

大きな転換点を迎えます

オリヴィエは自分が殺された息子の父親であるとフランシスに告げ

そして

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あらためて

タイトルの

『息子のまなざし』

その真意とは?

つくづく

本作は

受容を巡る物語です

果たして

人は憎むべき相手を

いかにして受け入れることができるのか

そして

人と人は

どのようにして

わかり合うことができるのか

このシンプルで困難な問いかけに対して

映画は

過度な誇張をまじえず

ただ静かに淡々と

二人が作業する姿を映し出すことで

その行く末を暗示します

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抑制されたトーンの中から

こみ上げてくる内面の高揚

この兄弟監督の

確かな知性に裏打ちされた良心と

そして映画表現の新たな地平への飽くなき探求心が

ほのかに垣間見れて

いやあ

なんて素晴らしい映画でしょうか

というわけで

本作『息子のまなざし』は

ダルデンヌ兄弟の無二の世界観が

見事に結実した傑作です

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