映画『ノマドランド』

2021年のアメリカ映画
『ノマドランド』
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監督・脚本は
中国のクロエ・ジャオ(1982-)
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本作でアジア人女性で初めて米アカデミー賞監督賞を受賞し、話題になりましたね
主演はフランシス・マクドーマンド
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やはり本作で、自身三度目となる米アカデミー賞の主演女優賞を獲得した
言わずと知れた名女優です
ネバダ州エンパイアに暮らす60代の女性ファーンは
リーマンショックの影響によって工場閉鎖に見舞われ
長年住み慣れた家を失ってしまう
やがてキャンピングカーに所持品を詰め込んだ彼女は
ノマド(遊牧民)として車上生活を送りながら
アメリカ西部の各地を季節労働をして渡り歩いていく
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キャンピングカーで暮らすファーン
どこか空虚で悲しみをたたえている一方で
彼女の生来の楽天的な性格が
表情や言動の端々から滲み出ています
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どこまでも広がる荒涼とした風景
寒さとの闘い
やがて多くのキャンピングカーが集まる
アリゾナの荒野の一帯に辿り着く
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同じようなノマドの人たちとの
つかの間の交流
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自ずと彼らと思いを吐露し合い
人生を振り返る
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露呈する資本主義の限界
アメリカ社会の現実の姿
経済一辺倒の生活に疲弊しきった人々
ほぼドキュメンタリーを観ているようです
映し出される生活のディテール
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現代のノマドといえば
一見、パソコンやスマホを片手に場所を定めず
どこででも仕事をしてしまう
いわゆる“ノマドウォーカー”を
つい想起させますが
いやいや
本作には
インターネットもスマホも出てきません
と
過酷な毎日の生活
その生々しい現実の中で
時折、いや度々
詩的な美しさに出くわす瞬間を
カメラは捉えます
マジックアワーの夕陽
この世の涯のような奇岩群
広大な草原
緑豊かな森林
そこにある樹齢のわからないほどの大木
荒れた大海原
朝陽に、夕闇に、照らされ
自然の中に溶け込んでいく…
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ファーンは姉夫婦から一緒に住むよう誘われたりするも
頑ななまでにキャンピングカー生活にこだわっている
内心いつまでも
夫と死に別れた喪失感にとらわれている
彼女はアメリカの荒野をさすらい続ける…
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孤独な心情を
果てしなく広がる砂漠
アメリカの大地が包み込んでいく
茫漠とした風景に寄り添い
悲しみと静かに向き合い
そして
この地と共に生きる…
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う〜ん
どこまでも淡々とした彼女の姿に
諦念とはまた違った
前向きさ、ひたむきさを垣間見
しなやかに生き抜いていく
という力強い意志
たしかなメッセージを感じとることができます
結果的にこのような選択をせざるを得なかったにせよ
これは何ものにもとらわれず自由に生きるという
現代人のひとつの生き方の
ある種、象徴のような気がします
というわけで
『ノマドランド』
美しい映画
観ていて
いろいろと去来する思いに駆られた
いやあ
これは紛れもない傑作
是非ともおすすめです
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