映画『逆転のトライアングル』

今もまだどこかで上映中ですね

2022年製作

スウェーデンほか合作の

『逆転のトライアングル』

↓↓↓

blog_import_6443263f843b9.jpg

監督・脚本は

『ザ・スクエア』などで知られるスウェーデンの鬼才

リューベン・オストルンド(1974-)

↓↓↓

blog_import_64432640dbf4b.jpg

鋭い人間観察に基づく皮肉なユーモアを持ち味とした

若き俊英です

本作は

その作風にさらに磨きがかかった

まさにブラック・コメディの傑作です

共にファッション業界に身を置くモデルのカップル、ヤヤとカール

ヤヤは売れっ子だが

カールはイマイチ芽が出ない

そのことが少なからぬ不協和の種になっている2人だが

ある時

招待を受け豪華客船クルーズの旅に参加する

↓↓↓

blog_import_6443264258bac.jpg

富裕層の乗客たちは

誰もが優雅な振る舞いで

リッチなクルーズ旅行を楽しんでいるが

一癖も二癖もある者ばかり

↓↓↓

blog_import_64432643db915.jpg

しかしある晩

船が海賊の襲撃を受けてあえなく難破

やがて彼らは無人島に流れ着く

↓↓↓

blog_import_64432645783e1.jpg

そして

食べ物も水もSNSもない極限状態の中

ヒエラルキーの頂点に立ったのは

サバイバル能力抜群な船のトイレ掃除婦だった

↓↓↓

blog_import_64432646dd80b.jpg

う〜ん

ある種、絶対的な構図である

ヒエラルキーというトライアングルの

この容赦のない逆転劇

ハハハ

なんとまあ

シニカルでブラックな帰結でしょうか

映画は冒頭の

ファッション業界でのエピソードから始まり

↓↓↓

blog_import_644326484ae8e.jpg

男女の性差

美醜の違いがもたらす

いわばルッキズム(=外見至上主義)

経済による格差

そうした現代資本主義社会に内在する

不平等な現実を

痛烈に揶揄します

↓↓↓

blog_import_644326499894c.jpg

人気インフルエンサーのヤヤの写真を

せっせと撮る恋人のカール

↓↓↓

blog_import_6443264ae9fc2.jpg

特には

終盤

流れ着いた無人島で

魚を釣ったり、火を起こしたりできる掃除婦が

従来のヒエラルキーを

否応なくひっくり返すわけですが

つくづく

ここでは

お金はなんの役にも立たない

映画は

拝金主義

つまり

お金に妄執する人々の欺瞞を

白日のもとに晒し

そうして

笑い飛ばしてみせます

しっかし

このオストルンドという監督

さすが北欧の人ですね

お金が一番大事

という資本主義的な価値観に

必ずしも囚われていない

そんな

ある種の品の良さを感じます

ふと

だからこそ

上流階級の人々を

あそこまで

ゲロまみれ、まみれに

できたのではないでしょうかね

おっと

失敬

それにしても

富裕層の乗客たちの

気持ちのいいくらいの吐きっぷりに

笑いがとまりませんでしたね

ウッディ・ハレルソンが相変わらずいい味出しています

↓↓↓

blog_import_6443264c59b94.jpg

よくよく

タイトルにあるように

本作では

従来の価値観による三角形の構図が

おもむろに逆転します

それは男と女だったり

白人と有色人種だったり

富裕層と一般層(乗客とスタッフ)だったり

いやはや

本作は

監督の深い洞察に満ちたシニカルなブラック・ジョークが

もう随所に炸裂します

つくづく

オストルンドの才能に脱帽ですね

本作を観ていて

つい思わず

ブニュエルの『皆殺しの天使』(1962)

ルノワールの『ゲームの規則』(1939)

はたまた

ピーター・グリーナウェイの毒気のある風刺劇

『コックと泥棒、その妻と愛人』(1989)

などを想起しましたね

というわけで

『逆転のトライアングル』

いやあ

なんともヒリヒリとした味わいの

ブラック・コメディの傑作

これはオススメです

↓↓↓

blog_import_6443264d95d07.jpg

おまけ

オストルンドの前作

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』について

以前、僕が書いた本ブログ記事はこちら

↓↓↓

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。