映画『逆転のトライアングル』
今もまだどこかで上映中ですね
2022年製作
スウェーデンほか合作の
『逆転のトライアングル』
↓↓↓
監督・脚本は
『ザ・スクエア』などで知られるスウェーデンの鬼才
リューベン・オストルンド(1974-)
↓↓↓
鋭い人間観察に基づく皮肉なユーモアを持ち味とした
若き俊英です
本作は
その作風にさらに磨きがかかった
まさにブラック・コメディの傑作です
…
共にファッション業界に身を置くモデルのカップル、ヤヤとカール
ヤヤは売れっ子だが
カールはイマイチ芽が出ない
そのことが少なからぬ不協和の種になっている2人だが
ある時
招待を受け豪華客船クルーズの旅に参加する
↓↓↓
富裕層の乗客たちは
誰もが優雅な振る舞いで
リッチなクルーズ旅行を楽しんでいるが
一癖も二癖もある者ばかり…
↓↓↓
しかしある晩
船が海賊の襲撃を受けてあえなく難破
やがて彼らは無人島に流れ着く
↓↓↓
と
そして
食べ物も水もSNSもない極限状態の中
ヒエラルキーの頂点に立ったのは
サバイバル能力抜群な船のトイレ掃除婦だった…
↓↓↓
う〜ん
ある種、絶対的な構図である
ヒエラルキーというトライアングルの
この容赦のない逆転劇
ハハハ
なんとまあ
シニカルでブラックな帰結でしょうか
映画は冒頭の
ファッション業界でのエピソードから始まり
↓↓↓
男女の性差
美醜の違いがもたらす
いわばルッキズム(=外見至上主義)や
経済による格差
そうした現代資本主義社会に内在する
不平等な現実を
痛烈に揶揄します
↓↓↓
お
人気インフルエンサーのヤヤの写真を
せっせと撮る恋人のカール
↓↓↓
特には
終盤
流れ着いた無人島で
魚を釣ったり、火を起こしたりできる掃除婦が
従来のヒエラルキーを
否応なくひっくり返すわけですが
つくづく
ここでは
お金はなんの役にも立たない
映画は
拝金主義
つまり
お金に妄執する人々の欺瞞を
白日のもとに晒し
そうして
笑い飛ばしてみせます
しっかし
このオストルンドという監督
さすが北欧の人ですね
お金が一番大事
という資本主義的な価値観に
必ずしも囚われていない
そんな
ある種の品の良さを感じます
ふと
だからこそ
上流階級の人々を
あそこまで
ゲロまみれ、○まみれに
できたのではないでしょうかね…
おっと
失敬…
それにしても
富裕層の乗客たちの
気持ちのいいくらいの吐きっぷりに
笑いがとまりませんでしたね
ウッディ・ハレルソンが相変わらずいい味出しています
↓↓↓
よくよく
タイトルにあるように
本作では
従来の価値観による三角形の構図が
おもむろに逆転します
それは男と女だったり
白人と有色人種だったり
富裕層と一般層(乗客とスタッフ)だったり
いやはや
本作は
監督の深い洞察に満ちたシニカルなブラック・ジョークが
もう随所に炸裂します
つくづく
オストルンドの才能に脱帽ですね
本作を観ていて
つい思わず
ブニュエルの『皆殺しの天使』(1962)や
ルノワールの『ゲームの規則』(1939)
はたまた
ピーター・グリーナウェイの毒気のある風刺劇
『コックと泥棒、その妻と愛人』(1989)
などを想起しましたね
というわけで
『逆転のトライアングル』
いやあ
なんともヒリヒリとした味わいの
ブラック・コメディの傑作
これはオススメです
↓↓↓
おまけ
オストルンドの前作
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』について
以前、僕が書いた本ブログ記事はこちら
↓↓↓
この記事へのコメントはありません。