映画『アデュー・フィリピーヌ』

映画評です

1962年公開のフランス映画

『アデュー・フィリピーヌ』

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監督はフランス・ヌーヴェルヴァーグの時代から

半世紀以上に及ぶ長いキャリアの中で

長編がわずか5本のみという

寡作で知られる伝説の映画作家

ジャック・ロジエ(1926-)

ただいま90

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と、なぜかロジエの作品は

長らく日本で上映する機会に恵まれず

しばらくの間

知る人ぞ知る幻の存在でいましたが

実に半世紀の時を経た2010年に

ようやく回顧上映が実現し

その全貌が明らかになりました

ということで今回ご紹介の本作は

ロジエの長編デビュー作であり

かつ代表作とうたわれ

また後にヌーヴェルヴァーグの到達点

とも評された傑作です

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1960年パリ

アルジェリアへの出兵を控えたミシェルは

勤め先のテレビ局でモデルのリリアーヌとジュリエットと知り合い

接するうちに、次第に惹かれ合っていく

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仕事を辞めてしまったミシェルは

ちょっと早い夏のヴァカンスでコルシカ島へ行き

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やがてそこに彼女たち2人も合流

つかの間、男女3人による自由気ままなひと時を過ごすが

しかし仲良しだったリリアーヌとジュリエットは

ミシェルへの嫉妬が原因で徐々に関係がこじれていく

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とまあ、三角関係を描いた

たわいもないストーリー展開ながら

映画は

コルシカ島での夏のヴァカンスという眩い光と

アルジェリア戦争への出兵という暗い影とが

絶妙なコントラストを形成しながら

若者たちのほろ苦くも切ない青春の1ページを

瑞々しく切り取ってみせます

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彼女たちが時折垣間見せる

リアルで生き生きとした素の表情

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主役の3人に素人を起用し

ロケーション撮影による即興演出で

若者たちの日常の生の姿や些細な感情のもつれを

さりげないアングルで的確に捉えます

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こう、なんといいますか

タッチが絶妙に軽いんですよね

アルジェリア戦争への徴兵を控えているミシェルの心情を察するような

刹那的なまでのセンチメンタリズムそれ自体が

どことなく爽やかといいますか

正直、なんとも粋なんですよね

ここらへんはヌーヴェルヴァーグという

ある種、特別な輝きを放った時代性のなせるわざでしょうか

いやあ

自由で、純粋で、それでいてリアル

まるで初期のゴダールとトリュフォーとロメールを足して割ったような

そんなヌーヴェルヴァーグの多くの要素や空気感が詰まった

美しいショットで彩られています

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ところでタイトルの

『アデュー・フィリピーヌ』とは?

劇中、女子2人が

「明日の朝、早く起きて

ボンジュール、フィリピーヌといった方がミシェルとつき合える」

というゲームをし

翌朝ボンジュール、フィリピーヌ

と同じタイミングで言い合って

お互い笑い転げる

というところからつけられてます

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映画のタイトルは

「ボンジュール」(=おはよう)ではなく

「アデュー」(=さよなら)でして

う〜ん

ラストの別れを象徴的に捉えた名タイトルと言えましょうか

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というわけで

いやあ

昔の映画ってやっぱりいいですね

知られざるヌーヴェルヴァーグの傑作

あらためてオススメです

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