映画『トラフィック』
2000年製作のアメリカ映画
『トラフィック』
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監督は
天才の呼び声が高い
スティーヴン・ソダーバーグ(1963-)
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本作は
ソダーバーグが
アメリカ社会における
ドラッグ問題の実情に
真正面から迫った大作で
アメリカとメキシコを結ぶ巨大な麻薬コネクション
“トラフィック”を巡る3つの物語が
それぞれ複雑に絡み合いながら
同時進行していくという
野心的な構成の壮大な群像劇です
以下、3つのパート
◎ワシントンD.C.、オハイオ州シンシナティ
州最高裁判事ウェークフィールド(マイケル・ダグラス)は
麻薬取締の最高責任者に任命されたが
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その一方、彼の知らないところで
高校生の娘キャロラインは麻薬中毒に陥っていた
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◎カリフォルニア州サンディエゴ
いきなり逮捕された夫が
実は麻薬密輸業者だったと知った妊婦の妻へレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は
途方に暮れるも
やがて生きていくため夫の家業を引き継いでいく
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そこに麻薬組織摘発を進める
モンテル(ドン・チードル)ら刑事2人が絡んでくる
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◎メキシコ、ティファナ
麻薬ルートを追うメキシコ州警察のロドリゲス(ベニチオ・デル・トロ)ら刑事2人が
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巨大組織に取り込まれそうになりながら
捜査官としての任を全うしていく
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と
本作は群像劇だけあって
一人の主人公を軸に
物語が進行していくスタイルではなく
豪華キャストによる登場人物たちが
目まぐるしく入り乱れる構成のため
ともすれば混乱をきたしがちですが
そこは並行して進む3つのパートが
それぞれ画質の異なる映像で区分する
という手法を用いることによって
見事にクリアしています
ワシントンD.C.やオハイオ州では
青く灰みがかった映像
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カリフォルニアでは
コントラストの強い暖色系の映像
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メキシコでは
黄色がかった薄暗い映像
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このように
シーンによって
それぞれ特徴を持たせていますが
物語が進行していく中で
色味が別のパートにも適用されたりして
観ていく中で
徐々に画質にこだわる意識も薄れ
それぞれの場面が
より際立った印象を帯びてきます
と
様々な登場人物たちの中で
清濁合わせ呑みながら
任務を遂行していく捜査官を
リアルに演じたデル・トロが出色ですね
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しっかし一筋縄ではいかないですね
観ていて
つくづく根深い問題だなと痛感します
本作においてソダーバーグは
ドラッグという問題に対して
ことさら明確なメッセージや結論じみたことを
発することはしていません
ドラッグにまつわる
それぞれの立場の人たちの出来事を
ひとつひとつ丁寧に紡ぎ
あくまで映像として提示することに徹し
そうした積み重ねを通して
ドラッグという底なし沼のような問題の
いわば全体像を浮かび上がらせることを意図しています
そしてその是非は
どこまでも観る者一人一人に委ねているのです
って
そうはいっても
ドラッグがもたらす深刻な側面を
映画は容赦なく映し出します
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つくづく
なんというスケールの映画でしょうか
というわけで
『トラフィック』
アメリカ社会の隅々まで侵食している
ドラッグの実態
その赤裸々な現実の姿を
緻密かつ大胆な目で
余すことなく捉えた
ソダーバーグ渾身の力作
いやあ
今更ながらオススメです
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