映画『サムライ』
1967年製作
フランス・イタリア合作の
『サムライ』
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監督・脚本は
フレンチ・フィルムノワールの名手
ジャン=ピエール・メルヴィル(1917-1973)
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本作は
アラン・ドロンを主演に迎え
ある孤高の殺し屋の生き様をクールに描いた
言わずと知れた
映画史に残る名作です
…
一匹狼の殺し屋ジェフ・コステロは
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コールガールの愛人ジャーヌにアリバイを頼み
ナイト・クラブのオーナーを殺害するが
現場を立ち去る途中
女性歌手のヴァレリーに顔を見られてしまう
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警察の一斉検挙に遭いジェフも連行されるが
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面通しの際にヴァレリーは
ジェフが犯人ではないと嘘の証言をし
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彼は釈放される
しかし刑事はジェフを疑い尾行を続ける
そんな中で
ジェフは新たな殺しの依頼を受ける
ターゲットは
歌手のヴァレリーだった…
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タイトルが『サムライ』とあるように
本作は
日本の侍の精神性に
インスパイアされたかのごとく
陰影の中に生きる殺し屋の
静の美学を
終始、抑制されたトーンで
淡々と描き切ります
極端に少ないセリフ
ベッドと鳥籠しかない
シンプルな住空間
カナリアのさえずり音が
空虚に鳴り響く…
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ストイックでミニマム
几帳面なまでに折目正しい行動様式
様式とは
すなわちスタイルのこと
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サムライの風情をたたえた男が身にまとう
トレンチコートにフェドラ帽の出立ち
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雨が降っても傘をささず
濡れたまま…
他を寄せつけない
殺し屋のあり様
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う〜ん
あらためて
アラン・ドロンが
もう
ため息が出るほどかっこいい
無表情で
眼光鋭く
寡黙を貫く男の
孤独で
どこか哀しみが宿った内面を
完璧に体現しています
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おっと
チェスターコート姿もいいですね
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しっかし
ドロンの
この
徹頭徹尾
クールを貫く佇まいには
ヨーロッパ的ニヒリズムの本質を
垣間見る思いがします
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また
脇を固める女優たちも魅力的です
毅然とした態度を貫く
愛人ジャーヌに
当時ドロンと婚姻関係にあった
新人のナタリー・ドロン
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黒人歌手ヴァレリーに
異彩を放つ美しさの
カティ・ロジェ
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と
本作の
青みがかった乾いた映像は
通称
“メルヴィル・ブルー”
と呼ばれ
メルヴィルの映画の特徴のひとつですが
これに影響を受けたのが
日本の北野武で
彼の映画も
“北野ブルー”
と呼ばれ
しばしば青みがかっていて
多分にメルヴィルの青に
触発されているようですね
そうして
ラストのある種
死に場所を見つけたジェフの最期に至るまで
いやあ
メルヴィルの思い描く
サムライ的なビジョンが
ヨーロッパ的ムードと相まって
独特のノワールな世界観を構築
つくづく
なんとまあ
かっこいい映画でしょうか
というわけで
『サムライ』
メルヴィルとドロンのコンビが生んだ
まこと無二の傑作
今更ながら必見です
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